閉経後の骨粗鬆症治療薬として処方される薬がエビスタ錠(一般名:ラロキシフェン塩酸塩)です。
閉経によって女性ホルモンが低下すると骨を吸収する破骨細胞の働きが活発になるのですが、エビスタは破骨細胞の働きを抑えることで骨密度を増加させたり骨折を抑制します。
エビスタについて特徴や作用機序、薬局で患者さんから聞かれる質問についてまとめました。
効能・効果
エビスタ(ラロキシフェン)の効能・効果は「閉経後骨粗鬆症」となっています。
作用機序・SERM(サーム)とは?
閉経後は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下します。
エストロゲンは骨密度を低下させる「破骨細胞」の働きを抑える作用があります。
エビスタ(ラロキシフェン)は骨ではエストロゲンのように作用し、破骨細胞の働きを抑え骨折を予防します。
一方で子宮や乳腺でエストロゲンのように働いてしまうと乳がんなどの原因となってしまうのですが、エビスタ(ラロキシフェン)は子宮や乳腺ではエストロゲンの働きを抑え悪影響を与えにくいのが特徴です。
このように骨ではエストロゲン作用を示し、子宮や乳房では抗エストロゲン作用を示すことから選択的エストロゲン受容体モジュレーター(Selective Estrogen Receptor Modulator:SERM)と呼ばれます。
同じSERMにビビアント錠という薬があります。
用法・用量(飲み方)
エビスタの用法・用量は
「ラロキシフェン塩酸塩として、1日1回60mgを経口投与する」
となっています。
食事によって影響を受けないため「食後」でなくても処方されることがあります。
抜歯はしても大丈夫?顎骨壊死は?
「エビスタ服用中に抜歯しても大丈夫?」
薬局でも時々聞かれる質問ですが、エビスタは抜歯による顎骨壊死は問題となりません。
抜歯を避ける必要があるのはビスホスホネート製剤とよばれる薬剤になります。
念のため抜歯が必要になった場合は、併用薬を必ず主治医に伝えるようにしましょう。
ビスホスホネート製剤についてはこちらにまとめられています。
ジェネリック医薬品はある?
エビスタには薬価の安いジェネリック医薬品が販売されています。
- ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「サワイ」
- ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「トーワ」
- ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「テバ」
- ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「SN」
- ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「DK」
添加物に違いはありますが、効能・効果や有効成分は全く同じとなっています。
血栓症の副作用に注意
エビスタの副作用で注意しなければいけないのが「血栓症」です。
確率は高くはありませんが下記のような初期症状が現れた場合はすぐに主治医に相談するようにしましょう。
- 急に息苦しくなる
- 胸が苦しくなる
- 片方のふくらはぎが赤く腫れる
- 急に視力が低下する