風邪や気管支炎の時の去痰や、副鼻腔炎の時の排膿を目的として処方される薬がムコダイン錠(成分名:L-カルボシステイン)です。
副鼻腔炎の時はクラリスロマイシンなどのマクロライド系の抗生物質とセットで処方されることがあります。
ムコダインの錠剤には250mgと500mgがあり、子供用にはシロップとドライシロップのタイプがあります。
ムコダインについて薬局で患者さんから聞かれる質問を中心にまとめてみました。
作用機序
ムコダインになぜ去痰作用があるのか?
ムコダインの作用機序を解説したいと思います。
ムコダインは気道粘液修復薬と呼ばれていて、下記の3つの作用があります。
①痰の構成成分である気道粘液を正常化し、痰の喀出を容易にする。
②気道粘膜を修復し、痰の喀出を容易にする。
③急性・慢性呼吸器疾患の痰の喀出を促進する。
細菌やウイルスなどが気道に入ると、体の防御反応が働き、外敵が体に侵入しないように粘液の粘性を高め、外敵を捕獲しようとします。
防御反応が働き過ぎると痰の粘性が高くなりすぎて痰が出し辛くなってしまいます。
痰の構成成分は水とムチンです。
粘り気の原因となるのがムチンなのですが、ムチンの構成成分であるフコースとシアル酸の構成バランスが崩れることで痰の粘り気が強くなります。
ムコダインはフコースとシアル酸の構成バランスを整えることで痰を出しやすくします。
またムチンの分泌を抑えることで、痰の粘性を低下させ、気道粘膜の炎症を修復することで痰を出しやすくする働きもあります。
ジェネリック医薬品の違い
ムコダイン錠には薬価の安いジェネリック医薬品が販売されています。
ムコダイン錠500mgの主なジェネリック医薬品です。
- カルボシステイン錠500mg「トーワ」
- カルボシステイン錠500mg「サワイ」
- カルボシステイン錠500mg「KN」
- カルボシステイン錠500mg「JG」
- シスダイン錠500mg
先発品と比べて添加物に違いはありますが、有効成分や効能・効果は全く同じとなっています。
眠気の副作用はある?
「ムコダインで眠くなる?」
薬局でも時々聞かれますが、ムコダインには眠気の副作用は報告されていません。
主な副作用は
食欲不振、下痢、腹痛 、発疹 が0.1~5%で報告されています。
妊娠・授乳中の服用
「妊娠中だけどムコダイン服用していい?」
と聞かれることがあります。
製薬メーカーの説明書によると
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。 [妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]
引用元 ムコダインインタビューフォーム
となっています。
しかしヒトで通常量で投与した場合の催奇形性は認められておらず、実際の現場では処方される機会は多くあります。
また授乳中については添付文書の注意書きもなく「授乳を中止しなくてOK」と指導されるケースもあります。
市販薬は売っている?
ムコダインの成分である「L-カルボシステイン」が単体で入った市販薬はありません。
しかし、L-カルボシステインと去痰薬が配合された市販薬としてパブロンSゴールドWやクールワン去たんソフトカプセルが販売されています。