メニエール病によるめまい・耳鳴りに処方される薬がアデホスコーワ顆粒です。
メニエール病とは、「目の前の景色がぐるぐる回る」といった回転性のめまいが繰り返し起こります。発作時には耳鳴りや耳が聞こえにくくなる(難聴)ことがあります。
アデホスコーワ顆粒についてメニエール病に効果を示す作用機序、薬局で患者さんから聞かれる質問についてまとめてみました。
有効成分
アデホスコーワ顆粒には1g中にアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物(ATP)が100mg含まれています。
効能・効果
アデホスコーワ顆粒の効能・効果です。
・下記疾患に伴う諸症状の改善
頭部外傷後遺症
・心不全
・調節性眼精疲労における調節機能の安定化
・消化管機能低下のみられる慢性胃炎
・メニエール病及び内耳障害に基づくめまい
メニエールだけでなく、心不全による浮腫みや、頭部の外傷による頭痛・頭重・めまい、調節性眼精疲労による眼症状(目がチカチカする・目が熱い)や全身症状(頭痛・頭重)、消化管機能低下による慢性胃炎にも効果を示します。
アデホスコーワ腸溶錠という錠剤タイプがありますが、腸溶錠には「メニエール病及び内耳障害に基づくめまい」の適応はありません。
作用機序(メカニズム)
メニエール病は、耳の中の前庭や三半規管に内リンパ液がたまり内リンパ腫となって耳を圧迫し、内耳血流が低下することで起こります。
アデホスコーワ顆粒の有効成分であるATPは内耳の血管を拡張させ、血流量を増やすことで内耳機能を改善し、めまいや耳鳴りを改善します。また平衡機能を改善する働きもあります。
動物実験などで報告されているアデホスコーワ顆粒の作用は下記の通りです。
・脳血流量の増加(ネコ)
・冠血流増加作用(イヌ)
・胃血流増加作用(イヌ)
・内耳微小管血管拡張作用(モルモット)
代謝賦活作用
・脳代謝賦活作用(ヒヒ)
・内耳代謝賦活作用
胃運動改善、胃粘液分泌促進作用
妊娠・授乳中の服用
製薬メーカーの説明書では「妊婦さんには投与しないことが望ましい」となっていますが、催奇形性などは報告はされていないことから妊娠中でも処方されるケースはあります。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。〔妊娠中の投与に 関する安全性は確立していない。〕
引用元 アデホスコーワ顆粒添付文書
授乳中の使用について注意書きがないことから「授乳を中止しなくてOK」と指導されるケースがあります。
お酒(アルコール)との併用
アデホスコーワ顆粒を服用中に「お酒を飲んでいいですか?」と質問を受けることがあります。
お酒とアデホスコーワ顆粒の相互作用は問題ありませんが、大量の摂取は避けるようにしてください。
飲み合わせが悪いものは?
アデホスコーワ顆粒と併用注意になっている薬剤は、抗血小板薬のジピリタモール(商品名:ペルサンチン)です。アデホスコーワ顆粒と併用することでATPの分解物であるアデノシンの血中濃度が上昇し、心臓血管への作用が増強してしまうことが理由です。
ジピリタモール以外に関しては飲み合わせに注意する薬剤は特にありません。
副作用で眠気はでる?
アデホスコーワ顆粒は副作用による眠気はほとんどでません。
製薬メーカーの副作用集計では眠気の報告は0.21%(4/1920)となっています。
その他の副作用として、悪心、食欲不振、胃腸障害、頭痛、痒みなどがありますが、どれも1%未満と非常に低い確率になっています。
ジェネリック医薬品はある?
アデホスコーワ顆粒のジェネリック医薬品は販売されていません。
アデホスコーワ顆粒と同じ成分で同じ効能・効果でトリノシン顆粒が販売されています。
薬価はアデホスコーワ顆粒より安いですが、トリノシン顆粒は「先発品」扱いとなっています。