うつや社会不安障害で処方される薬がレクサプロ錠(成分名:エスシタロプラム)です。
日本ではルボックス・デプロメール(成分名:フルボキサミン)、パキシル(成分名:パロキセチン)、ジェイゾロフト(成分名:セルトラリン)に続く4成分目の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)です。
レクサプロは脳内に存在するセロトニンの再取り込みを選択的に阻害し、セロトニン濃度を上昇させて、うつや不安などの症状を改善します。
「レクサプロの効果は?」
「レクサプロで太るって聞いたけど本当?」
「お酒は飲んでいい?」
薬局ではこのような相談をよく受けます。患者さんから聞かれる質問を中心にレクサプロについてまとめてみました。
レクサプロの作用機序
うつの状態では脳内の情報伝達物質であるノルアドレナリンやセロトニンの働きが低下していると考えられています。
うつ病の原因は様々な仮説がありますが、ノルアドレナリンやセロトニンが低下している説をモノアミン仮説といわれます。
レクサプロ(エスシタロプラム)は脳内でのセロトニン量を増やし神経伝達を増強させる働きがあります。
具体的は作用機序を解説していきます。
神経細胞(前シナプス)からノルアドレナリンやセロトニンといった神経伝達物質が放出され、次の神経細胞(後シナプス)に情報を伝えていきます。
神経細胞(前シナプス)から放出されたノルアドレナリンやセロトニンの一部はトランスポーターと呼ばれるトンネルのようなもので神経細胞(前シナプス)に回収されてしまいます。
レクサプロ(エスシタロプラム)はセロトニンが回収されるトランスポーターを阻害することで脳内のセロトニン濃度を上昇させ、うつなどを改善させる働きがあります。
レクサプロ(エスシタロプラム)はセロトニンに対する選択性が高いことから、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI: Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)と呼ばれます。
レクサプロの用法・用量(飲み方)
成人の場合、レクサプロ錠10mg(エスシタロプラムとして10mg)を1日1回夕食後に服用します。
増量する場合、1週間以上の間隔をあけて行い、1日最高用量は20mgを超えないこととなっています。
レクサプロの効果が出るまでの時間
飲み始めて2週間くらいでじわじわと効いてくるといわれています。
また飲み始めは特にムカツキや吐き気などの消化器系の副作用や眠気が強くでることがありますがこれらの副作用は徐々に軽くなっていきます。
レクサプロの効果(寛解率)
実際の効果ですが、製薬メーカーによると下記の通りとなっています。
うつ病の寛解率は24週時で59.5%、52週時で68.2%
社会不安障害の寛解率は24週時で18.1%、52週時で27.0%
レクサプロの副作用
レクサプロの主な副作用は下記の通りとなっています。製薬メーカーが実施した試験での発生確率をカッコ内に記載しました。
社会不安障害の場合
傾眠(22.6%)、悪心(20.7%)、浮動性めまい(8.5%)、 頭痛 (8.2%)、口渇 (6.3%)、倦怠感(5.7%)
うつの場合
悪心(4.8%)、傾眠(2.7%)、倦怠感(1.0%)
レクサプロで太る?(体重増加)
同じSSRIではパキシル(成分名:パロキセチン)が体重増加の副作用が報告されていますが、レクサプロでは体重増加の副作用はありません。
レクサプロと飲酒(アルコール)
他の抗うつ剤でアルコール併用することで眠気やふらつきなどが増強することが報告されているため、レクサプロでも念のため注意するようにとなっています。
絶対に一緒に飲んではいけない「併用禁忌(へいようきんき)」ではありませんが、お酒は極力控えるようにしましょう。