腎臓の機能が落ちた慢性腎不全患者さんは、食事によって吸収されたP(リン)が腎臓から排泄されにくくなるため、血液中のリンの濃度が高くなってしまいます。
P(リン)はCa(カルシウム)と一緒に骨を作ったり、筋肉を作る上で必要なミネラルです。
しかし血液中にリンがたまり「高リン血症」になると副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、二次性副甲状腺機能亢進症となり骨が弱くなったり、血管が石灰化することで心筋梗塞や、脳梗塞など引き起こす可能性がでてきます。
透析をしてもリンの除去が不十分であることから、食事からリンの吸収を抑える薬が処方されます。
リン吸収抑制薬にカルタンという薬があります。
カルタンについて作用機序や飲み方について解説していきます。
カルタンの規格・種類
カルタンには3つの剤形が存在します。
- カルタン錠250mg,500mg
- カルタンOD錠250mg,500mg
- カルタン細粒83%
作用機序(メカニズム)
カルタンの有効成分である沈降炭酸カルシウムがリン(P)の消化管からの吸収を抑えることで、血中のリン濃度の上昇を抑えます。
具体的にどのようにリンの吸収を抑えるのか解説します。
リンは消化器の中ではPO43-(リン酸)として存在します。
沈降炭酸カルシウムに含まれるCa3+(カルシウム)がPO43-(リン酸)と結合し、不溶性のリン酸カルシウム(第二リン酸カルシウム[CaHPO4]、第三リン酸カルシウム [Ca3(PO4)2])となって、リンの吸収を抑えます。
カルタン飲み方・食直後に服用する理由
カルタンは食直後に服用する薬です。
食直後とは食事の5分後以内のことをいいます。
カルタン錠、カルタン細粒は水かぬるま湯で服用します。
カルタンOD錠は唾液で溶かして飲み込むか、舌ですり潰して飲み込みます。
唾液が少ない場合や口の中に薬が残る場合は、少量の水やぬるま湯で流しこむようにしましょう。
食直後に服用する理由ですが、カルタンの作用機序を理解したらイメージがつくと思いますが、
食事のタイミングより早すぎたり、遅すぎたりすると、うまく食事中のリンとカルタンが結合しないためです。
カルタン飲み忘れ時の対応は?
カルタンの飲み忘れに気づいた場合、食後30分以内であれば一般的に気づいた時に服用して問題ないとされています。
食後30分以上経過した場合は、効果が期待できないため飛ばして、次回から正しい量で服用することとなっています。
主治医から特別指示がある場合はそちらに従うようにしてください。
大量の牛乳の摂取を控える
大量の牛乳を摂取することで、血液中のカルシウムの濃度が高くなる高カルシウム血症が現れることがあります。
カルタンを服用中は大量の牛乳の摂取は避けるようにしなければいけません。
大量の牛乳の具体的な目安は主治医や薬剤師によってばらばらですが、僕は1リットル以上は飲まないようにと指導しています。