気管支炎や肺炎などの呼吸器感染や、皮膚感染、膀胱炎、クラミジアなど尿路感染に処方される抗生物質がクラビット(成分名:レボフロキサシン)です。

クラビット

出典 第一三共


「妊婦だけどクラビットは飲める?」
「授乳中だけどクラビットは飲んでいい?」
「飲み合わせに問題のある薬は?」

薬局で患者さんから聞かれる質問を中心にクラビット(レボフロキサシン)についてまとめてみました。

アルミニウム・マグネシウムとクラビット(レボフロキサシン)の併用

マグミットやマグラックス、酸化マグネシウムなどマグネシウム(Mg)を含む薬アルミニウム(Al)を含む薬と一緒に飲むとキレートを作り吸収が低下しますので、併用する場合はクラビットを服用した後、1~2時間間隔をあけるようにしましょう。

鉄剤(フェロミア)とクラビット(レボフロキサシン)の併用

フェロミアフェログラデュメットなどの鉄剤(Fe)と併用するとキレートを作り吸収が低下しますので、併用する場合はクラビットを服用した後、1~2時間間隔をあけるようにしましょう。

フェニル酢酸系のNSAIDs(ボルタレン)とクラビット(レボフロキサシン)の併用

フェニル酢酸系の解熱鎮痛剤とクラビット(レボフロキサシン)を併用すると痙攣が誘発されることが報告されています。
そのため下記の薬が併用された場合、特に持病にてんかんがある場合は注意をしましょう。

  • ボルタレン(成分名:ジクロフェナク)
  • ハイペン(成分名:エトドラク)
  • インテバン(成分名:インドメタシン)
  • クリノリル(成分名:スリンダク)

プロピオン酸系NSAIDsとクラビット(レボフロキサシン)の併用

プロピオン酸系解熱鎮痛剤とクラビット(レボフロキサシン)を併用すると痙攣が誘発されることが報告されています。
そのため下記の薬が併用された場合、特に持病にてんかんがある場合は注意をしましょう。

  • ロキソニン(成分名:ロキソプロフェン)
  • ブルフェン(成分名:イブプロフェン)
  • ニフラン(成分名:プラノプロフェン)
  • ナイキサン(成分名:ナプロキセン)
  • ソレトン・ペオン(成分名:ザルトプロフェン)

痙攣が起こる理由はこちらにまとめています。

クラビット(レボフロキサシン)ロキソニン(ロキソプロフェン)の併用で痙攣が起こる?

ワーファリン(ワルファリン)とクラビット(レボフロキサシン)の併用

ワーファリンとクラビット(レボフロキサシン)を併用するとワーファリンの作用を増強し、プロトロンビン時間の延長(出血傾向)になると報告されています。

妊婦とクラビット(レボフロキサシン)

製薬メーカーの説明書では「妊婦に投与しないこと」となっています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。(妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。)

引用元 クラビットインタビューフォーム

ただし「炭疽等の重篤な疾患に限り、治療上の有益性を考慮して投与すること」となっています。

授乳中にクラビット(レボフロキサシン)

製薬メーカーの添付文書(説明書)には授乳中の婦人には授乳を避けさせることとなっています。

理由は別のニューキノロン系の抗生物質であるオフロキサシンで母乳中へ移行することが報告されているそうです。

しかし海外の基準ではクラビット(レボフロキサシン)は比較的安全のL2に位置づけられています。

L2概ね適合(比較的安全):probably compatible

少数例の研究に限られるが、乳児への有害報告なし。リスクの可能性がある根拠はほとんどない。

そのため医療現場ではクラビットを服用中に「授乳は中止しなくていい」と指導されるケースもあります。

しかし、心配なようでした服用後24時間くらい経てば薬は体から消失されていますので1日空ければ問題ないと考えられます。

もう少し詳しく知りたい方へ

クラビット(レボフロキサシン)の効能・効果

クラビットに効能のある細菌と適応症を抜粋します。

適応菌
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシ エラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペ スト菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、 カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌、 Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、 トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎 マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

適応症
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿痬、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿 痬を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、 精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、子宮頸管炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、 バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性 唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、Q熱