膀胱炎や風邪、クラミジアなどの細菌感染に使われる抗菌薬がクラビット錠(成分名:レボフロキサシン)です。

クラビット

出典 第一三共


クラビット(レボフロキサシン)は細菌のDNAが複製されるのを阻害することで細菌を殺す抗生物質です。

クラビット(レボフロキサシン)はニューキノロン系という抗生物質に分類されており、ニューキノロン系の抗生物質とNSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれる解熱鎮痛剤の併用で痙攣が誘発されることが報告されています。

ではNSAIDsの中でもよく使われるロキソニン(成分名:ロキソプロフェンナトリウム)はどうなのでしょうか?

ニューキノロン系抗生物質とNSAIDsで痙攣が起こる理由

少しマニアックな話になりますが、クラビットなどのニューキノロン系抗生物質は中枢神経系の抑制性伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)レセプターでのGABA特異的結合を阻害することが報告されています。GABA作動性の抑制神経の伝達が阻害されると、中枢神経系の興奮が増大し痙攣が誘発されます。

この「GABA作動性の抑制神経伝達の阻害」は解熱鎮痛剤のNSAIDsと併用すると増大することが報告されています。

クラビット(レボフロキサシン)とロキソニン(ロキソプロフェン)の併用

クラビットの説明書には「フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬は痙攣の誘発の可能性があることから併用に注意するように」と注意書きがあります。

ロキソニンはプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬に該当するためロキソニンも併用には注意をしなければいけません。

しかし臨床現場ではロキソニンとクラビットの併用はしばしば目にします。実はマウスの動物実験ではロキソニンとクラビットの併用による痙攣は報告されておりません。

またクラビット(レボフロキサシン)単独でも痙攣の誘発があり、NSAIDsとの併用により痙攣が起こる確率が上がるのはたったの0.06%程度ということが分かっています。

持病にてんかんがない限りは神経質にならなくても問題ないかと思います

クラビット(レボフロキサシン)とカロナールの併用

解熱鎮痛剤の中でクラビット(レボフロキサシン)との飲み合わせが問題にならないのはカロナールコカール(成分名:アセトアミノフェン)です。

カロナールやコカールはロキソニンのようなNSAIDsと異なる作用を持っているため痙攣誘発を増大することはありません。

クラビット(レボフロキサシン)と風邪薬の飲み合わせ

市販の風邪薬を選ぶ際に、フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬が入っていないお薬を選ぶことをオススメします。

フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬に該当する薬剤にジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレン)、イブプロフェン(商品名:イブシリーズ)、ロキソプロフェン(商品名:ロキソニンSシリーズ)があります。

クラビット(レボフロキサシン)を服用中に市販薬を購入する場合は、これらの薬は避けた方がよいでしょう。心配な方はドラッグストアの薬剤師に併用が問題ないか確認してみてください。