「足の爪が白く濁ってきた」
「爪の色が黄色っぽくなっている」
「爪の厚みが増してきた・・・。」
これらの症状が気になる場合、爪白癬(つめはくせん)が疑われます。
爪白癬とは爪にできる水虫のことです。
爪白癬は市販薬では治療できないため、皮膚科での処方薬での治療が基本となります。
爪水虫で処方される内服薬(飲み薬)、外用薬(塗り薬)、また生活面での注意点など解説いたします。
爪白癬(爪水虫)とは?
爪の水虫は「白癬菌(はくせんきん)」が原因となります。
足にできる水虫を放置することで、白癬菌が爪に入り込むことで爪白癬となってしまいます。
糖尿病など感染症を起こしやすい場合はとくに症状がでやすい傾向にあります。
爪白癬の内服薬(飲み薬)一覧
爪白癬の治療に使われる飲み薬の一覧です。
成分名 | 商品名 | 飲み方・特徴 |
---|---|---|
イトラコナゾール | イトリゾールカプセル イトラコナゾールカプセル「SW」 | 1回200mg1日2回食直後に服用 CYP3A4及びP糖蛋白阻害作用あり |
テルビナフィン塩酸塩 | ラミシール錠 テルビナフィン錠「メーカー名」 | 1日1回食後 CYP2D6阻害作用あり |
ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物 | ネイリンカプセル | 1日1回 食事に関係なく服用可能 12週間服用 CYP3A阻害作用あり |
これらの内服薬は、白癬菌の細胞膜の成分であるエルゴステロールの生成を阻害することで白癬菌の増殖を抑えます。
すべて肝臓で代謝されることから血液検査でALT、ASTなどの肝機能に注意しながら治療が進められます。
イトラコナゾール(イトリゾール)の特徴
イトラコナゾール(先発品商品名:イトリゾールカプセル)は食後の吸収が最もよくなることから、食直後(食事の5分以内)に服用しなければいけません。
イトラコナゾールの爪白癬の治療はパルス療法といって、
1週間集中的に服用(1回4カプセルを1日2回)
↓
その後3週間休薬
これを3セット繰り返す飲み方となります。
イトラコナゾールは薬の代謝や吸収に関与するCYP3A4(シップスリーエーフォー)及びP糖蛋白(ピートウタンパク)を阻害する作用があります。
そのため飲み合わせの悪い薬が多く、他に病院を受診している場合は、併用薬を主治医と薬剤師に必ず伝えるようにしましょう。
テルビナフィン(ラミシール)の特徴
テルビナフィン(先発品商品名:ラミシール錠)は1日1回食後に服用する薬剤です。
特に投与期間は設定されていませんが、肝臓の負担をみながら主治医の判断で治療が続けられます。
テルビナフィンは薬の代謝に関わるCYP2D6(シップツーディーシックス)を阻害することから併用注意の薬があります。
他の病院で薬を処方されている場合は必ず主治医と薬剤師に相談しましょう。
ホスラブコナゾール(ネイリン)の特徴
ホスラブコナゾール(先発品商品名:ネイリンカプセル)は1日1回を食事に関係なく服用できるのが特徴です。
治療期間は12週間という設定があります。
イトラコナゾールやテルビナフィンに比べると併用注意の薬は少ないですが、薬の代謝に関わるCYP3Aを阻害する作用があります。
念のため併用薬がある場合は主治医と薬剤師に相談しましょう。
爪白癬の外用薬(塗り薬)一覧
爪水虫の治療薬は飲み薬だけでなく、塗り薬の存在します。
もともと肝機能が悪い方や、服用している薬と飲み合わせが悪い場合など外用薬が処方されることがあります。
成分名 | 商品名 | 使い方・特徴 |
---|---|---|
ルリコナゾール | ルコナック爪外用液 | 1日1回 爪全体に塗布 容器を直接おしあてる |
エフィナコナゾール | クレナフィン爪外用液 | 1日1回 爪全体に塗布 専用のハケで塗る |
これらの外用薬は白癬菌の細胞膜の成分である「エルゴステロール」の生成を阻害することで白癬菌の増殖を抑えます。
1日1回ですので、入浴後などの清潔なタイミングで使用するように指示される傾向にあります。
爪水虫はうつる?
爪白癬は他の人にうつす可能性があります。
タオルやスリッパの使い回しは避けなければいけません。
またバスマットでも感染の原因となりますので、家族で爪水虫の方がいらっしゃる場合は、バスマットを別々に使うことをオススメします。
患部を手で触った場合、手に白癬菌がついていることがありますので、手洗いも忘れずにおこないましょう。
水虫は乾燥させること
爪白癬に限らず、水虫は乾燥させることを心がけなければいけません。
素足になる時間をつくったり、汗をかいた場合は靴下を交換する、靴を定期的に干すなど、乾燥させる環境を意識してつくってあげましょう。
爪水虫の治療は自己判断で終了しないこと
水虫の治療は根気がいります。
たとえ患部が綺麗になったとしても、白癬菌が残っている可能性がありますので、主治医の治療終了の判断があるまでは、根気よく薬を継続しなければいけません。