皮膚の乾燥や硬くなった角質に処方される塗り薬がケラチナミンコーワクリーム20%です。

元々はケラチナミンコーワ軟膏として発売されていましたが、軟膏とクリームの定義づけが改正されたことから名称がケラチナミンコーワクリームになっています。

また市販薬でもケラチナミンコーワクリーム20%が販売されており、手指のあれ、硬くなったひじ・かかとに使われたりハンドクリーム代わりに使われる方も多くいらっしゃいます。

ケラチナミンコーワクリームについて薬局で患者さんから聞かれる質問を中心にまとめてみました。

作用機序

ケラチナミンクリームの有効成分である「尿素」が角質の水分量を増加させ、余分な角質を剥がれやすくし、皮膚を正常化します。

また角質を構成する「ケラチン」というタンパク質にも作用し、角質を柔らかくする作用もあります。

尿素入りの化粧水やハンドクリームが発売されていますが、尿素を塗ることで肌がしっとりしツルツルになります。

効能・効果・有効率

ケラチナミンクリームには下記の効能効果があります。

魚鱗癬、老人性乾皮症、アトピー皮膚、進行性指掌角皮症(主婦湿疹の乾燥型)、足蹠部皸裂性皮膚炎、掌蹠角化症、毛孔性苔癬

また販売元のメーカーが発表している治療の有効率は下記の通りです。

疾患名有効率
魚鱗癬86.9%
老人性乾皮症87.9%
アトピー皮膚72.3%
進行性指掌角皮症68.5%
足蹠部皸裂性皮膚炎75.0%
掌蹠角化症64.5%
毛孔性苔癬55.3%

 

イボへの使用・効果は?

イボはヒトパピローマウイルスが原因となるのですがケラチナミンにヒトパピローマウイルスを抑える作用はありません

しかし2002年にある皮膚科のDrから尿素含有軟膏でヒトパピローマウイルスによるイボが減少した、消失したとの報告もあります。

 ウイルス性のいぼ(疣贅)は、治療に苦慮することが多い皮膚感染症の一つ。しかし、尿素軟膏を1日2回十分量塗布すれば、9割以上が数カ月で治癒する--。4月14日のシンポジウム3「ありふれているが治療に難渋する皮膚疾患」では、市立堺病院前副院長(3月末で定年退職、5月に東皮フ科医院を開業予定)の東禹彦氏が、尿素軟膏の“劇的な効果”を多数の症例と共に提示した。

治癒に要する期間は、扁平疣贅で4カ月、尖形コンジローマで2~3カ月、尋常性疣贅で8カ月以内。

このようにケラチナミンがイボに効いたとしてもかなりの期間を有してしまいます。

ヒトパピローマウイルスの治療薬は尖圭コンジロームにはベセルナクリームが、その他のイボには液体窒素での外科的治療が主流です。

ウイルス性のイボは感染することから早く適切な治療を行うことをオススメします。

顔に使用できる?

市販のケラチナミンクリーム20%は手指のあれやひじかかとの硬くなった部分、さめ肌に使用するようになっています。

 

医療用でも顔に尿素含有剤が処方される機会は少なく、ヒルドイドソフト軟膏やワセリンが顔には使われる傾向にあります。

顔に使ってはいけないわけではないですが、顔は皮膚が薄いことや、眼の粘膜に入ると強い刺激を感じることから高濃度の尿素剤は積極的には使用されていません。

また「尿素」は保湿作用だけでなく角質のタンパク質であるケラチンの構造を変化させ角質を柔らかくする作用があります。

正常な皮膚にも作用するため、顔への保湿目的だけには適さないと考えられます。

ウレパール・パスタロンとの違い

ケラチナミンコーワクリームには1g中に尿素が200mg含有する20%製剤です。

同じ尿素製剤にウレパールクリーム・ローションやパスタロンソフト軟膏・クリーム・ローションがあります。

ウレパールは1g中に尿素が100mg含有する10%製剤のみとなっていますが、パスタロンには1g中に尿素が100mg含有する10%製剤と1g中に尿素が200mg含有する20%製剤が販売されています(20%はパスタロンクリーム・ソフト軟膏のみ)

パスタロンの20%にはケラチナミンと同じ有効成分である尿素が同じ濃度ではいっており、効能・効果も全く同じです。
パスタロンクリーム20%がケラチナミンと添加物がほとんど同じのため使用感もほとんど変わりありません。

妊婦・授乳中・赤ちゃんへの使用

ケラチナミンクリームの有効成分は尿素であり人間の体内にもある成分ですので妊娠中や授乳中、赤ちゃんでも処方されるケースがあります。

赤ちゃんの場合は10%製剤のウレパールやパスタロンが使用されるケースが多いです。

副作用

ケラチナミンコーワクリームの主な副作用はぴりぴり感(1.71%)紅斑 (0.86%)痒感(0.60%)疼痛 (0.43%)となっています。

現役薬剤師Yu現役薬剤師Yu

ケラチナミンコーワクリームについて薬局で相談を受ける内容についてまとめました。

ボクは冬場に皮膚が乾燥することから市販のケラチナミンを時々使います。
一番効果を発揮する使い方は「入浴後」に塗ることです。

ケラチナミンコーワクリームについて疑問がありましたら下記の質問ボックスよりコメントいただけると幸いです。