風邪や気管支炎などの咳止めとして処方される薬がアストミン錠(成分名:ジメモルファンリン酸塩)です。
アストミンは非麻薬性の咳止めで、リン酸コデインのような麻薬性の咳止めに比べて眠気や口の渇き、便秘の副作用が少ない薬です。
アストミンについて薬局で患者さんから聞かれる質問を中心にまとめてみました。
咳に効果のある理由・作用機序
アストミンが、なぜ咳に効果があるのか?
アストミンの作用機序を説明したいと思います。
咳は脳の「延髄」にある咳中枢が反射を起こすことで出るのですが、アストミンは延髄の咳中枢の反応を鈍くして(閾値を高めて)、咳が出にくいようにします。
細菌やウイルスなどの異物が気管に入ると、咳中枢は「咳で異物を排出せよ」といった信号を送ります。
アストミンは咳中枢が信号を送る働きを鈍くさせることで咳を抑えます。
しかし咳がでるからといってアストミンを使用するのはよくありません。
咳は異物を出すための自然反応ですので、むやみに咳を止めるのは、かえって治りを遅らせてしまうことがあります。
気管や肋骨を傷つけたり、体力を消耗してしまうような咳の時に「咳止め」が処方されるのです。
妊娠中・授乳中の使用
「妊娠中だけどアストミン服用していい?」
と聞かれることがありますが、アストミンは治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみOKとなっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
引用元 アストミンインタビューフォーム
また授乳中については添付文書に注意書きがなく「授乳を中止しなくても良い」と指導されるケースがあります。
食後?空腹時の服用はOK?
アストミン錠の用法・用量です。
成人(15 才以上)には1回1~2錠(ジメモルファンリン酸塩として10~20mg)を1日3回経口投与する。 但し、年齢、症状により適宜増減する。
特に胃を荒らす薬ではないため、食後に飲まないといけない薬ではありません。
飲み忘れた場合など、無理に食後に服用する必要はないと考えられます。
糖尿病がある方の服用
アストミンは「糖尿病のある方は慎重に服用すること」
となっています。
アストミンの動物実験では耐糖能の低下といって血糖値のコントロールに変化があったことが理由ですが、人間での異常は見られていません。
しかし、軽度でも影響がでる可能性があるため慎重に服用するようにとなっています。
便秘の副作用が少ない・眠気はでることあり
アストミンの主な副作用は
食欲不振、口渇、悪心、眠気、めまい等となっています。
また頻度は不明ですが発疹がでることもあります。
便秘の副作用がでないため便秘傾向の方に使用される傾向にあります。
眠気の副作用の頻度は1%程度と低いため、車の運転を中止する必要はありません。
お酒(アルコール)は飲んでいい?
アストミンとお酒(アルコール)は相互作用は問題ありません。
風邪の時はお酒の摂取自体を控えた方がいいため、極力最小限に抑えるようにしましょう。
市販薬は売ってる?
アストミンの有効成分であるジメモルファンリン酸の入った市販薬はドラッグストアなどで販売されていません。