風邪や気管支炎などで痰がひどい時に処方される去痰薬がビソルボン錠(成分名:ブロムヘキシン塩酸塩錠)です。
ビソルボンは錠剤だけでなく、細粒、シロップ、吸入液や注射液も発売されています。
ビソルボンについて薬局で聞かれる質問を中心にまとめてみました。
作用機序
ビソルボンになぜ去痰作用があるのか?
作用機序について解説したいと思います。
ビソルボンは大きく下記の4つの働きがあります。
①漿液性分泌増加作用
②酸性糖蛋白溶解・低分子化作用
③肺表面活性物質の分泌促進作用
④線毛運動亢進作用
漿液とは粘性の低い液のことなのですが、ビソルボンは漿液性分泌を増やすことで痰の粘性を低下させます。
そして、痰の成分である酸性糖蛋白を溶解することで痰を分解し低分子化したり、気道分泌を増やすことで痰を外に出す働きがあります。
ビソルボンは痰を分解し、痰を薄め、痰を外に出すことで去痰作用を発揮します。
ムコダイン(カルボシステイン)との違い
去痰薬の中でよく処方されるのがムコダイン(成分名:L-カルボシステイン)です。
ムコダインは気道粘液修復薬と呼ばれています。
細菌やウイルスが感染することで痰の構成バランスが崩れ粘性が高くなるのですが、ムコダインはこの痰の構成成分のバランスを正常に戻し痰の粘性を低下させる働きがあります。また気道の炎症を抑え痰を出す作用があります。
ビソルボンのような痰の溶解作用はありません。
ムコソルバン(アンブロキソール)との違い
気道潤滑薬と呼ばれるムコソルバン(成分名:アンブロキソール塩酸塩)との違いはあるの?
薬局でも時々聞かれる質問なのですが、ムコソルバンは気道液や肺表面活性物質の分泌を増やし、痰を外に流しだす働きがあります。
ビソルボンのように痰を分解する働きはありません。
妊娠・授乳中の服用
「妊娠中だけどビソルボンは服用していい?」
と薬局でも聞かれることがありますが、製薬メーカーの説明書では治療の有益性が危険性を上回る場合のみOKとなっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 [妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
引用元 ビソルボンインタビューフォーム
授乳中の使用について注意書きがないことから「授乳を中止しなくてOK」と指導されるケースがあります。