風邪の時に処方される総合感冒薬がPL配合顆粒です。

「授乳中だけど服用しても大丈夫?」
「インフルエンザの時に服用できる?」
「副作用で眠気はでる?」

薬局で患者さんに聞かれる質問を中心にPL顆粒についてまとめてみました。

PL配合顆粒についての疑問を少しでも解消できると幸いです。

配合成分(一般名)と作用機序

PL配合顆粒には解熱鎮痛剤のサリチルアミドアセトアミノフェン、鼻水を抑える抗ヒスタミン薬のプロメタジンメチレンジサリチル酸塩、そして眠気を抑えるために無水カフェインが配合されています。

1g中に含まれる有効成分量は下記の通りです。

成分名PL1g中
サリチルアミド
解熱鎮痛
270mg
アセトアミノフェン
解熱鎮痛
150mg
無水カフェイン60mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩
鼻水 
13.5mg

 

サリチルアミドの作用機序

サリチルアミドは非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs)と呼ばれ、熱や痛みの原因となるプロスタグランジンPGE2)の生成を抑えることで、熱や痛みを抑えます。

アセトアミノフェンの作用機序

アセトアミノフェンは末梢血管を拡張させ、体の水分を移動させることで発汗させ熱を下げます

また痛みを感じにくくする働きもあります。

無水カフェインの作用機序

PLに含まれるプロメタジンメチレンジサリチル酸塩が眠気の副作用がでるため、カフェインを入れることで眠気を軽減させます。

またカフェインは脳の血管を収縮させる働きもあり頭痛を和らげる働きもあります。

プロメタジンメチレンジサリチル酸塩の作用機序

プロメタジンメチレンジサリチル酸塩は抗ヒスタミン薬と呼ばれ鼻水を抑える働きがあります。

ヒスタミン受容体にヒスタミンが結合すると鼻水やくしゃみがでるのですが、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩はヒスタミン受容体にヒスタミンが結合するのをブロックし鼻水を抑えます。

ジェネリック医薬品との違い

PL顆粒には薬価が少しだけ安いジェネリック医薬品が存在します。

  • サラザック配合顆粒
  • セラピナ配合顆粒
  • トーワチーム配合顆粒
  • マリキナ配合顆粒

先発品と添加物に違いはありますが、有効成分や効能・効果は全く同じとなっています。

妊娠・授乳中の服用

妊娠中だけどPL配合顆粒飲んでいい?

患者さんから聞かれる質問なのですが、製薬メーカーの説明書では「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ服用すること」となっています。

妊婦(12週以内あるいは妊娠後期)又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(サリチル酸製剤(アスピリ ン等)では動物試験(ラット)で催奇形作用) が,またヒトで,妊娠後期にアスピリンを投与された患者及びその新生児に出血異常があらわれたとの報告がある

引用元 PL配合顆粒インタビューフォーム

また妊娠後期にはこのような記載があります。

妊娠後期の婦人へのアセトアミノフェンの投与により胎児に動脈管収縮を起こすことがある

妊娠後期のラットにアセトアミノフェンを投与した試験で,弱い胎児の動脈管収縮が報告されている


授乳中だけどPL配合顆粒飲んでいい?

患者さんから聞かれる質問ですが、短期間であれば授乳を中止することなく服用していいと指示されるケースがあります。

授乳婦には長期連用を避けること。(本剤中のカフェインは母乳中に容易に移行する。)

インフルエンザの服用

インフルエンザの時に服用してもいい?

時々患者さんから聞かれる質問ですが、インフルエンザの時の解熱にPL配合顆粒はあまりオススメできません。

米国においてサリチル酸系製剤とライ 症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので,本剤を15歳未満の水痘,インフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが,やむを得ず投与する場合には,慎重に投与し,投与後の患者の状態を十分に観察すること

引用元 PL配合顆粒インタビューフォーム

インフルエンザの時の解熱にはカロナールコカールといったアセトアミノフェン製剤の使用が推奨されています。

眠気の副作用がおこる理由

PL配合顆粒は高い確率で眠気の副作用がでます。

そのため説明書には

眠気を催すことがあるので,本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように十分注意すること。

といった記載があります。

PL配合顆粒を服用すると眠くなる理由は、鼻水を抑えるプロメタジンメチレンジサリチル酸塩が脳に移行し、覚醒を抑えるため、眠気の副作用がでてしまいます。

市販薬はある?

PL配合顆粒と全く同じ市販薬は販売されていません。

鼻水を抑える「プロメタジンメチレンジサリチル酸塩」が入った市販薬自体が販売されていませんが、解熱鎮痛成分のアセトアミノフェンとサリチルアミドが入った市販薬が新エスタック「W」です。

新エスタックWには、咳止めの「ノスカピン」と鼻水を抑える「クロルフェニラミン」が入っています。

追記

2017年8月にシオノギヘルスケアよりPL配合顆粒の市販薬版「パイロンPL顆粒」が発売されました。

配合成分の種類は全く同じとなっていますが、医療用医薬品のPL配合顆粒に比べて、市販薬のパイロンPL顆粒の方が1包中に含まれる配合量が少なくなっています。

成分名PL
医療用医薬品
1包1g中
パイロン
市販薬
1包0.8g中
サリチルアミド(解熱鎮痛)270216
アセトアミノフェン(解熱鎮痛)150120
無水カフェイン6048
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩(鼻水) 13.510.8

1包中の配合量(mg)

1包中に含まれるPL配合顆粒は1g、パイロンPL顆粒は0.8gのため実は1gあたりに換算すると配合量は全く同じとなるのです。