ドラッグストアで薬剤師をしていると、膀胱炎に関する相談を多く受けます。
「膀胱炎に効果のある市販薬はある?」
「何度も再発するけど予防方法はある?」
患者さんから聞かれる質問を中心に膀胱炎の予防法と治療についてまとめてみました。
女性の方が男性より多い理由
膀胱炎というとどんなイメージがありますでしょうか?
おそらく多くの方が「女性」をイメージするかと思います。
膀胱炎の多くの患者さんは女性なのですが、なぜ女性に多いのでしょうか?
理由は女性の身体特徴にあります。
女性は男性に比べ膀胱の容量が小さく、尿道(尿が溜まっている膀胱から体外に出る経路)が短い構造になっています。
膀胱炎の起炎菌(原因の菌)の1位は大腸菌(70%~95%)です。
大腸菌は大腸にいる場合は、便と共に肛門を通過して排泄されます。
大腸菌は大腸にいてくれたらまだ問題は少ないのですが、菌が尿道の方にいってしまうと膀胱炎などを引き起こしてしまいます。
女性は男性に比べ、尿道と肛門が近いため、菌が膀胱へ入りやすく膀胱炎になりやすいのです。
膀胱炎の予防方法・対策
「何度も膀胱炎を繰り返す・・・」
このように膀胱炎が再発し、慢性化するといった相談を受けることがあります。
膀胱炎は日常生活を見直すことで、ある程度防ぐことができます。
では、どのように予防すればよいのでしょうか?
膀胱炎の対策について解説したいと思います。
おしっこを我慢しない
菌が膀胱に入らないようにするために、おしっこは我慢しないようにしてください。
一度膀胱炎になったことのある方は、前兆でまた膀胱炎になりそうだと解る方が多いです。その時は、しっかり水分を摂って尿を出しましょう。尿を出すことが一番の殺菌になります。水分をしっかり摂り、利尿作用のあるカフェインが入ったもの(紅茶など)がオススメです。
清潔に保つ
トイレでは紙を惜しまずしっかり拭き、清潔さを保ちましょう。排便時は、尿道とは反対方向に向かって肛門を拭きましょう。尿道に大腸菌を入れないためにも、とても大切なポイントです。
通気性のいい下着を選ぶ
陰部はどうしても通気性が悪くなる部位なので、抵抗力が落ちてしまうとカビ(カンジダ)などに罹患しやすくなります。かぶれを防止するためにも下着は自分の肌に合うものを選びましょう。
規則正しい生活を
免疫が低下すると菌に感染しやすくなります。
食事と睡眠をとり、規則正しい生活を心がけ免疫力が落ちないようにしましょう。
治し方・治療法(市販薬&病院での受診)
膀胱炎になった場合、どのように治療すればよいのか説明したいと思います。
軽度の場合
軽度の場合は、水分をしっかりとり、尿をしっかり出すようにしましょう。市販薬の場合腎仙散を用法に従い1箱分を飲み切ります。
軽い排尿時痛がある場合は猪苓湯が効果的な方もいます。かかりつけの薬剤師にご相談ください。
中等度以上
中等度以上の場合は、病院で抗生物質の治療となります。クラビット(成分名:レボフロキサシン)やフロモックス(成分名:セフカペンピボキシル)といった抗生物質が処方されます。
症状が軽減すると抗生剤をやめる方がいますが、菌が耐性化して強くなってしまう場合があります。必ず飲み切るようにしましょう。