風邪のひどい時、気管支炎や肺炎などに処方される抗生物質がアベロックス錠(成分名:モキシフロキサシン略語MFLX)です。

アベロックスは長期で処方すると耐性菌が問題となることから、肺炎や副鼻腔炎には10日間まで、皮膚感染や気管支炎、咽頭・扁桃炎には7日間までしか処方ができないとされています。

アベロックス

出典 富士フイルムファーマ

効能・効果

アベロックスに効能・効果のある適応症は下記の通りです。

表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,咽頭・喉頭炎,扁桃炎, 急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染,副鼻腔炎

適応する細菌については下記の通りです。

モキシフロキサシンに感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,モラクセラ(ブランハメラ)・ カタラーリス,大腸菌,クレブシエラ属,エンテロバクター属,プロテウス属,インフルエンザ菌,レ ジオネラ・ニューモフィラ,アクネ菌,肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ),肺炎マイコプ ラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

 

作用機序

アベロックスはニューキノロン系抗生物質とよばれ、細菌のDNAが複製されるのを阻害することで殺菌作用のある薬剤です。

少し専門的になりますが、 細菌のDNAの複製に関与する酵素にDNA ジャイレーストポイソメレースⅣというものがあるのですが、アベロックスはDNA ジャイレース、トポイソメレースⅣを阻害することで細菌のDNAの複製を抑えます。

頭痛・吐き気の副作用が多い

アベロックス錠の頻度の高い(1~10%)副作用は下記の通りです。

頭痛、浮動性めまい、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、ALT(GPT)上昇、AST (GOT)上昇、カンジダ症

また水の様な下痢になったり、発疹がでた場合は主治医に相談するようにしましょう。

妊娠中の使用

妊婦さんへのアベロックスの投与は「禁忌(きんき)」となっており、投与してはいけないこととなっています。

サルにおける胚・胎児発生に関する試験において、本剤30 mg/kg/日以上の用量で流産が認められている。ヒトにおいては妊産婦を対照とした臨床試験は行なっておらず、ヒトでの妊娠中の投与に関する安全性が確立されていないことから、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には本剤を投与しないこと。

引用元 アベロックス錠インタビューフォーム

授乳中の使用

授乳中の方には製薬メーカーの説明書では「授乳をさせないこと」となっています。

哺育中の雌ラットに、本剤の14C-放射能ラベル体4.6mg/kgを単回経口投与した場合、投与後8時間までの乳汁中には、血漿中放射能濃度の約1/3~3/4に相当する放射能が認められ、本剤の乳汁中のAUCは血漿中のAUCの約46%であった。ヒトにおける乳汁中移行に関するデータはないが、動物実験と同様にヒトにおいても母乳に移行する可能性があるので、授乳中の婦人への投与を避け、やむを得ず投与する場合には授乳させないこと

引用元 アベロックス錠インタビューフォーム

日本の場合、少しでも薬が母乳に移行すると「授乳を中止すること」となっていますが、実際は母乳に移行する量がごくわずかであったり、赤ちゃんに影響がでないことが多くあります。

海外の基準では、授乳中のアベロックスの服用は「概ね適合」に位置づけられており、Drによっては短期間の場合は授乳してもOKと指示されるケースもあります。

概ね適合:probably compatible

授乳婦の対照試験はないが、児不都合な影響が出る可能性がある。又は対照試験でごく軽微で危険性のない有害作用しか示されていない。母親の潜在的な有益性が児の潜在的なリスクを凌駕する場合のみ投与(論文でのデータがない新薬は安全と考えられても自動的にL3)

引用元 妊娠・授乳中の薬の安全性・危険度・影響の基準表

 

ジェネリック医薬品

2017年時点でアベロックス錠のジェネリック医薬品は発売されておりません。