鼻水、鼻づまり、気管支ぜんそくで処方される漢方薬がツムラ小青竜湯です。
読み方は「しょうせいりゅうとう」で番号は19番です。
ツムラ小青竜湯について、味、成分、飲み方、妊娠・授乳中の服用についてまとめてみました。
効能・効果
ツムラ小青竜湯の効能・効果は下記のとおりです。
下記疾患における水様の痰
水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒
体力が中等度で、水様の痰や鼻水が出るときに処方される傾向にあります。
風邪だけでなくアレルギーによる鼻炎にも効果を示します。
作用機序
鼻水は漢方の考え方では、体内の余分な「水(すい)」が溜まってうまく排泄できず鼻水としてあふれ出る状態とされています。
また過剰な「水(すい)」が「気(き)」の流れを妨げるため、「気(き)」を動かそうとして、くしゃみがでます。
小青竜湯は「水(すい)」による冷えを温めるとともに余計な水分代謝を促し鼻水を抑えます。
また「気(き)」を動かすことでくしゃみもおさえます。
葛根湯との違い・使い分け
風邪のひき始めに処方される葛根湯も鼻水を抑える作用がありますが、寒気やのどの痛みが強い場合は葛根湯、鼻の症状がひどい(透明な鼻水)場合は小青竜湯が適していると考えられます。
味
小青竜湯の味は「わずかに酸味があって甘い」のが特徴です。
有効成分
小青竜湯1日分の9.0gあたり、下記の割合の混合乾燥エキスを5g含有しています。
有効成分 | 組成 |
---|---|
ハンゲ | 6.0g |
カンキョウ | 3.0g |
カンゾウ | 3.0g |
ヘイヒ | 3.0g |
ゴミシ | 3.0g |
サイシン | 3.0g |
シャクヤク | 3.0g |
マオウ | 3.0g |
飲み方
基本的な用法・用量は下記のとおりです。
通常、成人1日9.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
食前とは?
食事の30分前
食間とは?
食事と食事の間(食後2時間が目安)
お湯か水で服用
ぬるま湯かお水で服用しましょう。
速く効かせたい場合は多めのお湯(さ湯)で服用することをオススメします。
お水(orぬるま湯)を口に含ませた状態で漢方を口の中に入れるとスムーズに飲み込むことができます。
食前・食間に飲む理由
「漢方は吸収をよくするために空腹時に飲む薬」
こんな言葉を聞いたことはないでしょうか?
実はまったく反対の間違いで、漢方を食前や食間などの空腹時に飲む理由は「吸収を穏やかにするため」なのです。
マオウなどのアルカロイドは、少量でも激しく作用します。空腹時のような胃の中のpHが低い状態に服用すると吸収を穏やかにできるため、悪心などの消化器への副作用を軽減できるのです。
また胃の中に食物がない状態で服用することで、より速く腸に到着させ、相互作用を防ぐ目的もあります。
子供・赤ちゃんへの用量
子供や赤ちゃんへの用量は下記の通りです。
年齢 | 用量 |
---|---|
7歳〜15歳未満 | 成人の2/3 |
4歳〜7歳未満 | 成人の1/2 |
2歳〜4歳未満 | 成人の1/3 |
2歳未満 | 成人の1/4以下 |
また一般的に赤ちゃんへの投与量は下記のようにされています。
1歳 成人の1/4
6ヶ月 成人の1/5
3ヶ月 成人の1/6
新生児 成人の1/8
Von Harnack表より
妊娠・授乳中の服用
製薬メーカーの説明書では「治療上の有益性が危険性を上回る場合にOK」となっています。
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある 婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
小青竜湯の配合成分である麻黄(マオウ)には交感神経を興奮させる作用がありますので、漢方なので大丈夫と自己判断での使用は避けるようにしましょう。
授乳中については添付文書に注意書きがなく「授乳を中止しなくてOK」と指導されるケースがあります。
副作用
漢方といえば副作用が少なく安全な薬といわれますが、体に合わない場合に下記のような副作用が現れることがあります。
頻度不明 | |
過敏症 | 発疹、発赤、 痒等 |
自律神経系 | 不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮等 |
消化器 | 食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢等 |
泌尿器 | 排尿障害等 |
ケイヒによる発疹・痒み
有効成分であるケイヒによる過敏症で痒みや発疹が報告されています。
マオウによる動悸・頻脈・悪心
有効成分のマオウによって、頻脈や動悸、興奮といった自律神経系、悪心や下痢といった消化器系、排尿障害といった副作用が現れることがあります。
眠気の副作用はでる?
小青竜湯では眠気の副作用は報告されていません。