ベンゾジアゼピン系抗不安薬の中で、弱く短時間作用するのがリーゼ錠(一般名:クロチアゼパム)です。
「リーゼのジェネリックとの違いは?」
「効果の発現時間は?」
「即効性ある?」
「デパスとの違いは?」
「妊婦だけど大丈夫?」
リーゼについて薬局で患者さんから質問を受ける内容をまとめました。
ジェネリック医薬品との違い
リーゼには薬価の安いジェネリック医薬品が販売されています。
- クロチアゼパム錠5mg「サワイ」
- クロチアゼパム錠5mg「ツルハラ」
- クロチアゼパム錠5mg「トーワ」
- クロチアゼパム錠5mg「日医工」
添加物に違いはありますが、有効成分や効能・効果は同じとなっています。
有効成分
リーゼには有効成分であるクロチアゼパムが5mg入ったタイプと10mg入ったタイプが存在します。
作用機序(メカニズム)
リーゼの有効成分であるクロチアゼパムはベンゾジアゼピン系(BZ系)と呼ばれる薬です。
ベンゾジアゼピン系薬剤は脳内のGABA(ギャバ)の機能を賦活化させることで効果を発揮します。
GABAとは、ガンマアミノ酪酸といわれ、脳内の抑制系神経伝達物質と呼ばれます。
クロチアゼパムが脳内にあるベンゾジアゼピン受容体に結合すると、GABAがGABA受容体に結合しやすくなり、細胞外にあるClイオンが細胞内に入り込み、興奮が伝わりづらくなります。
効能・効果
リーゼの効能・効果は下記の通りです。
・心身症(消化器疾患,循環器疾患)における身体症候ならびに不安・緊張・心気・抑うつ
・睡眠障害
・下記疾患におけるめまい・肩こり・食欲不振
自律神経失調症
・麻酔前投薬
リーゼには主に
- 抗不安作用(弱い)
- 催眠作用(弱い)
- 筋弛緩作用(弱い)
があり、抗けいれん作用はほとんどないとされています。
効果発現時間・持続時間(Tmax・T1/2)
薬を服用して、血液中の濃度が最大になるまでの時間をTmax(ティーマックス)、その後、血中濃度が半分ずつ分解される時間をT1/2(ティーハーフ)または半減期といいます。
健康な成人男性にリーゼを1回投与した時のTmaxとT1/2は下記の通りです。
投与量 | Tmax | T1/2 |
---|---|---|
5mg | 0.78hr | 6.29hr |
10mg | 0.85hr | 5.82hr |
リーゼ5mgを服用した場合、約50分で効果が最大になり、その後約6時間ずつ濃度が半分に分解されていきます。
効果を実感できる時間は服用して6時間くらいといわれています。
デパス(エチゾラム)との違い・強さは?
抗不安薬の中でも処方頻度が高い薬がデパス(成分名:エチゾラム)です。
「リーゼ」と「デパス」はどう違うの?
と患者さんからよく質問を受けます。
「即効性」「持続性」「強さ」の視点から違いをまとめました。
即効性
リーゼ>デパス
Tmaxはデパス3.3時間、リーゼ0.78時間
持続性
リーゼ=デパス
半減期はデパス6.3時間、リーゼ6.29時間
強さ
リーゼ<デパス
ややデパスの方が強く、リーゼは弱くなっています。
妊娠・授乳中の服用
妊娠3ヶ月以内、妊娠後期には「治療上の有益性が危険性を上回る場合に処方すること」となっています。
妊婦(3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中に他 のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。〕
妊娠後期の婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合 にのみ投与すること。〔妊娠後期に他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼ パム,ニトラゼパム)を連用していた患者から出生した新生児に哺乳困難, 筋緊張低下,傾眠等の症状が発現したとの報告がある。〕
引用元 リーゼ インタビューフォーム
授乳中は「授乳は避けること」となっています。
授乳婦への投与は避けることが望ましいが,やむを得ず投与する場合は, 授乳を避けさせること。〔ヒト母乳中へ移行し,新生児に嗜眠,体重減少等を起こすことが,他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されており,また黄疸を増強する可能性がある。〕
市販薬はある?
リーゼの有効成分であるクロチアゼパムの入った市販薬は販売されていません。