うつ病、パニック障害、外傷後ストレス障害に処方される薬がジェイゾロフト錠(成分名:塩酸セルトラリン)です。

ジェイゾロフトは選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれていて、セロトニンが細胞内に再取り込みされるのを防ぐことで脳内のセロトニン量を増やし、うつやパニック症状を抑えることができます。

薬局では

ジェイゾロフトの効果は?
副作用で太るって聞いたけど本当?
ジェイゾロフトの離脱症状はどんな症状がでる?

といった質問を受けることがあります。

患者さんから聞かれる質問を中心にジェイゾロフトについてまとめてみました。

ジェイゾロフト(セルトラリン)作用機序・メカニズム

うつの状態では脳内の情報伝達物質であるノルアドレナリンセロトニンの働きが低下していると考えられています。

うつ病の原因は様々な仮説がありますが、ノルアドレナリンやセロトニンが低下している説をモノアミン仮説といわれます。

ジェイゾロフト(セルトラリン)は脳内でのセロトニン量を増やし神経伝達を増強させる働きがあります。

具体的は作用機序を解説していきます。

神経細胞(前シナプス)からノルアドレナリンやセロトニンといった神経伝達物質が放出され、次の神経細胞(後シナプス)に情報を伝えていきます。

神経細胞(前シナプス)から放出されたノルアドレナリンやセロトニンの一部はトランスポーターと呼ばれるトンネルのようなものによって神経細胞(前シナプス)に回収されてしまいます。

ジェイゾロフト(セルトラリン)はセロトニンが回収されるトランスポーターを阻害することで脳内のセロトニン濃度を上昇させ、うつなどを改善させる働きがあります。

ジェイゾロフト(セルトラリン)はセロトニンに対する選択性が高いことから、選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI: Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)と呼ばれます。

ジェネリック医薬品(セルトラリン錠)との違い

ジェイゾロフト錠には薬価の安いジェネリック医薬品が存在します。

セルトラリン錠+メーカー名

の名前でサワイ製薬や日医工トーワ薬品などから販売されています。

添加物に違いはありますが有効成分や効能・効果は全く同じです。

ジェイゾロフトの効果(改善率)

販売元のファイザーさんが発表しているジェイゾロフトのうつ病の改善率は55.7%となっています。

パニック発作については治療前のパニック発作の回数(平均)は5.2 回/週(459例)だったのに対して、終了・中止時には1.5回/週(459例)まで減少したと報告されており、改善率は72.7%(352/484例)となっています。

ジェイゾロフトの効果がでるまでの時間

飲み始めて2週間くらいでじわじわと効いてきます。
最初は特に吐き気や眠気の副作用が強くでますが徐々に軽くなってきます。

ジェイゾロフトとお酒(アルコール)

「今夜飲み会があるけど、お酒飲んでいいですか?」

といった相談を受けることがよくありますが、他の抗うつ薬でアルコールと併用することによって作用が増強するといった報告があるため「併用注意」となっています。

絶対にアルコールを飲んではいけないわけではありませんので、付き合い程度であれば問題ないと考えられます。

ジェイゾロフトの副作用

ジェイゾロフトの主な副作用は悪心(18.9%)、傾眠(15.2%)、口内乾燥(9.3%)、頭痛(7.8%)、下痢 (6.4%)、浮動性めまい(5.0%)となっています。

ジェイゾロフトの副作用で太る?(体重増加)

ジェイゾロフトの副作用で1%未満の確率で体重増加が報告されています。体重減少についても報告されており、ジェイゾロフトによる体重増加は可能性が低いと考えています

ジェイゾロフトの離脱症状

ジェイゾロフトの服用を急に中止したり減量すると、嘔気、振戦、錯乱、発汗、頭痛、 下痢めまい、知覚障害(錯感覚、電気ショック様感覚、 耳鳴等)、睡眠障害(悪夢を含む)、不安、焦燥、興奮、意識障害等といった離脱症状があらわれることがあります。

基本的にSSRIの離脱症状は服用を中止した後数日以内に現れ2週間ほどで改善しますが、重症の場合や、軽度の場合でも回復までに2、3ヵ月以上かかることもあります。

自分の判断で服用をやめたり減らしたりは絶対にしないようにしましょう。

妊娠中・授乳中の服用

妊婦さんにジェイゾロフト錠は「治療上の有益性が危険性を上回る場合に投与すること」とされています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 (妊娠中の投与に関する安全性は確立していない)

引用元 ジェイゾロフト錠 インタビューフォーム

妊娠末期に服用し新生児に離脱症状と同様の症状が報告されています。

妊娠を希望する場合は事前に主治医に相談するようにしましょう。

また授乳中に服用する場合は「授乳を避けること」とされています。

授乳中の婦人には投与を避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。(ヒト母乳中へ移行することが報告されている)

引用元 ジェイゾロフト錠 インタビューフォーム

大分県の産婦人科医会、小児科医会、薬剤師会での研究チームでは授乳中のジェイゾロフト錠の服用は下記のようにされています。

乳汁中への移行は少ない。多くの研究で実際に問題のあった報告が見当たらない。
引用元 大分県「母乳と薬剤」研究会」