花粉症や蕁麻疹、湿疹などの皮膚の痒みに処方される抗アレルギー薬がクラリチン(成分名:ロラタジン)とアレグラ(成分名:フェキソフェナジン)です。
どちらも眠気の副作用が少ないことから、車を運転する機会が多い人などに処方される薬です。
クラリチン(ロラタジン)とアレグラ(フェキソフェナジン)の違いについて徹底的に分析してみました。
飲み方(用法)の違い
服用方法はクラリチンは1日1回でOKですが、アレグラは1日2回飲む必要があります。
クラリチン (ロラタジン) | アレグラ (フェキソフェナジン) |
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7歳以上 3歳以上7歳未満
| 12歳以上 1回60mgを1日2回 7歳以上12歳未満 2歳以上7歳未満 6ヵ月以上2歳未満 |
また赤ちゃんでも服用できるのはアレグラで、6ヵ月から服用ができます。
効くまでの時間・即効性(Tmax)の比較
即効性は
クラリチンとアレグラはほとんど変わらない
と考えられます。
薬を飲み始めてから身体の中の薬の血中濃度が最大になるまでの時間をTmaxというのですが、それぞれのTmaxはクラリチン(活性代謝物)が2.3時間、アレグラが2.4時間となっています。
飲み続けるとTmaxは変わってきますが、即効性についてはクラリチンもアレグラも大差はないと考えられます。
クラリチン (ロラタジン) | アレグラ (フェキソフェナジン) |
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Tmax:2.3hr | Tmax:2.4hr |
持続時間・T1/2の比較
持続時間は
クラリチン>アレグラ
となっています。
薬の血中濃度が最大に達した後、半分ずつに代謝されるまでにかかる時間にT1/2(ティーハーフ)と呼ばれる指標があります。
T1/2が長いほど持続時間は長くなるのですが、アレグラのT1/2は9.1時間に対して、クラリチンは14.5時間とクラリチンの方が持続時間が長いことが考えられます。
そのためクラリチンは1日1回の服用でOKなのですが、アレグラは1日2回飲む必要があります。
クラリチン (ロラタジン) | アレグラ (フェキソフェナジン) |
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T1/2:14.5hr | T1/2:9.1hr |
効果・強さの比較
クラリチン(ロラタジン)とアレグラ(フェキソフェナジン)を直接比較した実験データはありません。
クラリチンもアレグラも主な作用機序はヒスタミンH1受容体をブロックするのですが、ヒスタミンH1受容体に対する親和性はアレグラ>クラリチンというデータがでています。
しかし僕が現場で患者さんと接する限りではアレグラもクラリチンも効果にそこまで差はないように感じています。
食事の影響(空腹時・食前・食後の比較)
クラリチン (ロラタジン) | アレグラ (フェキソフェナジン) |
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受けない | 食後で吸収低下 |
健康成人男子22例にクロスオーバー法で、空腹時及び食後(高脂肪食:脂肪55g)にフェ キソフェナジン塩酸塩錠120mg を単回経口投与したとき、空腹時に比べ食後投与時の AUC0-∞及び Cmax はそれぞれ15%及び14%減少した。
引用元 アレグラインタビューフォーム
アレグラは食後に処方されるケースがありますが、脂肪分の多いものを食べる場合は食前に服用した方が効果を落とさなくてすみます。
クラリチンは食事の影響は受けませんが、基本的には食後服用となっています。
副作用の眠気
クラリチンもアレグラもどちらも眠気の副作用が出にくい抗アレルギー薬です。
薬局では
「クラリチンとアレグラどっちが眠くなる?」
と聞かれることがありますが、眠気の副作用については大差はないと言われています。
クラリチン
製造販売後調査(使用成績調査及び特別調査)では7,049例中110例(1.6%)に副作用が認められた。主なものは眠気52件(0.7%)腹痛7件(0.1%)口渇6件(0.1%)便秘5件(0.1%)であった。
引用元 クラリチンインタビューフォーム
アレグラ
錠剤の使用成績調査及び特別調査において、総症例3,876例中61例(1.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められ、主な副作用は眠気19例(0.5%)腹痛8例(0.2%)めまい、倦怠感各5例(各0.1%)等であった。
引用元 アレグラインタビューフォーム
妊娠中の服用
妊娠中のクラリチン、アレグラの服用についてみてみたいと思います。
日本の説明書では「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」となっています。
海外のFDAでの基準では
クラリチン(ロラタジン)>アレグラ(フェキソフェナジン)
でクラリチンの方がより安全とされています。
クラリチン (ロラタジン) | アレグラ (フェキソフェナジン) | |
---|---|---|
日本 | 有益性上回る場合OK | 有益性上回る場合OK |
FDA | B | C |
FDAの基準について具体的な内容はこちらに記載しています。
授乳中の服用
日本の添付文書では少しでも母乳に薬が移行する場合は「授乳を中止すること」となっています。
しかし実際は母乳に移行する薬の量はごくわずかで、赤ちゃんに影響がでないことがほとんどです。
海外の基準の安全性は
クラリチン(ロラタジン)>アレグラ(フェキソフェナジン)
となっています。
どちらも安全な薬のため授乳を中止しなくていいと指導されるケースが多くあります。
クラリチン (ロラタジン) | アレグラ (フェキソフェナジン) | |
---|---|---|
日本 | 中止 | 中止 |
海外基準※ | L1 | L2 |
※Medications and Mother’s Milk 2014
Medications and Mother’s Milk の具体的な内容についてはこちらに記載しています。