花粉やハウスダスト、皮膚のかゆみなどに処方される抗ヒスタミン薬がビラノア(一般名:ビラスチン)です。
2016年9月に厚生労働省より製造販売承認を取得した薬剤です。
2016年11月18日に発売されました。
ビラノア(一般名:ビラスチン)について特徴をまとめてみました。
効能・効果
ビラノア(ビラスチン)の効能・効果は下記のとおりです。
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
飲み方・空腹時とは?
ビラノア(ビラスチン)の一般的な用法・用量は下記の通りです。
通常、成人にはビラスチンとして1回20mgを1日1回空腹時に経口投与する
空腹時服用のため食事の1時間前以内、食後2時間以内の服用は避けなければいけません。
主治医から「1日1回空腹時に服用」と処方された場合、日中に鼻水がひどい場合は朝起きた時に、夜間や明け方に鼻水がひどい場合は寝る前に服用することが推奨されています。
食事の影響を受けるため空腹時服用
ビラノア(ビラスチン)は食後に服用すると最大血中濃度が60%近く低下することが報告されているため、必ず空腹時に服用することとなっています。
健康成人男性20例を対象に空腹時または高脂肪食(900kcal以上で、総エネルギーに対する脂質の占める割合が35%以上)後に本剤20mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に比べ食後投与時のAUC0-tは1283.53ng・hr/mLから770.59ng・hr/mLへ約40%、Cmaxは 277.86ng/mLから120.18ng/mLへ約60%低下し、tmaxは1.03時間から3.03時間に延長したことから、本剤の経口投与では食事の影響を受け、バイオアベイラビリティが有意に低下することが確認された
引用元 ビラノアインタビューフォーム
作用機序(メカニズム)
作用機序について説明する前にアレルギーが起こるメカニズムについて説明します。
花粉やほこりなどのアレルゲンが体内に入ると、体は外敵とみなし攻撃をスタートします。
この攻撃が過剰になるとアレルギー症状がでてしまいます。
花粉症やじんましんは即時型(Ⅰ型)アレルギーと言われ、体の中にアレルゲンが入ると血液中のIgE抗体と結合します。
すると外敵を攻撃するために肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が放出されます。
脳や血管にヒスタミンH1受容体というものがあるのですが、ヒスタミンがヒスタミンH1受容体と結合することで、鼻水や眼の充血、肌の痒みなどが生じます。
ビラノア(ビラスチン)はヒスタミンH1受容体にヒスタミンが結合することをブロックするとともに、肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されるのを抑えることで、鼻水や皮膚の痒みを軽減します。
即効性・持続性(Tmax・半減期)
薬を服用して血液中の薬の濃度が最大に達するまでの時間をTmax(ティーマックス)、血液中の薬の濃度が半分に分解される時間を半減期またはT1/2(ティーハーフ)といいます。
ビラノア(ビラスチン)のTmax、T1/2は下記のとおりです。
Tmax | T1/2 半減期 |
---|---|
1hr | 10.54hr |
ビラノア(ビラスチン)は服用後1時間で効果が最大となり、その後10時間ごとに薬の濃度が半分ずつ代謝されていきます。
このようにビラノア(ビラスチン)は即効性があり、かつ持続力があるため1日1回の服用でOKとなっています。
グレープフルーツとの飲み合わせ
ビラノアをグレープフルーツで服用すると、最大血中濃度(Cmax)や効果が低下することが報告されています。
原因(機序)は不明だそうですが、同時にグレープフルーツジュースを摂取することは避けるようにしましょう。
健康成人12例に本剤20mgをグレープフルーツジュース240mLで投与したとき、血漿中ビラスチンのCmaxおよびAUC0-infはそれぞれ約0.6倍および約0.7倍に低下した。この血漿中ビラスチン濃度の低下はグレープフルーツジュースによるビラスチンの消化管から の吸収阻害に起因すると推察されたが機序は不明である。
引用元 ビラノアインタビューフォーム
妊娠・授乳中の使用
妊婦さんの場合、製薬メーカーの説明書によると、「危険性が有益性を上回る場合にOK」となっています。動物実験では胎児への毒性や催奇形性は報告されていません。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]
引用元 ビラノア添付文書
また授乳中の場合は「授乳を避けること」となっています。
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。
[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]引用元 ビラノア添付文書
特徴(眠気が少なく即効性と持続性がある)
ビラノア(ビラスチン)の特徴をまとめてみました。
- 服用後45分くらいで効果を実感できる(即効性あり)
- 1日1回で24時間効果持続
- 通年性アレルギー性鼻炎では服用1日目から改善
- 食事の影響を受けるため空腹時に服用
- 眠気の副作用は少ない(国内臨床試験では眠気0.6%)
- 薬の相互作用がほとんどない
(エリスロマイシン・ジルチアゼムが併用注意) - グレープフルーツジュースの同時摂取は避ける