口唇ヘルペスや帯状疱疹に処方される内服の抗ヘルペスウイルス薬がファムビル錠(一般名:ファムシクロビル)です。
ファムビルの適応症、どのようにヘルペスウイルスを抑えるのか、作用機序について解説していきます。
ファムビルの効能・効果
ファムビル錠に適応のある疾患は下記のとおりです。
- 単純疱疹
- 帯状疱疹
単純疱疹は単純ヘルペスウイルスが原因で起こります。
主に口唇ヘルペスや、陰部に症状が現れます。
帯状疱疹とは水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因で起こります。
小さい時に水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで水痘(みずぼうそう)を発症します。
水痘の皮膚症状が治った後も、水痘・帯状疱疹ウイルスは神経節に潜伏します。
加齢や、ストレス、過労、抗がん剤や免疫抑制剤の併用で水痘・帯状疱疹ウイルスが活発になり帯状疱疹を引き起こします。
帯状疱疹の具体的な症状や治療薬はこちらにまとめています。
ファムビル作用機序
ファムビル(ファムシクロビル)はヘルペスウイルスが増殖する際に必要となるDNAポリメラーゼという酵素の働きを阻害することで、ヘルペスウイルスの増殖を抑制します。
ファムシクロビルは服用後、肝臓でペンシクロビルに変換されて効果を発揮します。
ペンシクロビルのまま服用すると腸管からの吸収率が低くなることから、腸管から吸収されやすいように設計されたのがファムシクロビルです。
ファムシクロビルが肝臓でペンシクロビルに変換されると、ヘルペスウイルスに感染した細胞内に入ります。
ペンシクロビルは感染細胞内でウイルス由来のチミジンキナーゼという酵素によってリン酸化されることでヘルペスウイルスの増殖に必要なDNAポリメラーゼの働きを阻害し、ヘルペスウイルスの増殖を抑えます。
このため正常な細胞にはほとんど影響がでないのが特徴です。
ファムビルとお酒(アルコール)の併用
「ファムビルを服用しているけどお酒を飲んでいい?」
薬局で患者さんからよく聞かれる質問です。
結論からいうと帯状疱疹や単純疱疹の治療中にアルコールを摂取することはオススメはできません。
ファムビルとアルコールとの相互作用は問題ないのですが、アルコールには血管を拡張させる作用がありますので、痛みを増強させてしまう可能性があるからです。
また帯状疱疹や単純疱疹の際は安静が一番ですので、体に負担をかけない生活を心がけなければいけません。
そのためファムビルを服用している間はお酒(アルコール)の摂取は控えることをオススメします。
ファムビル用法・用量(飲み方)
単純疱疹と帯状疱疹で飲み方に違いがあります。
単純疱疹
通常、成人にはファムシクロビルとして1回250mgを1日3回経口投与する。帯状疱疹
通常、成人にはファムシクロビルとして1回500mgを 1日3回経口投与する。
単純疱疹の場合は5日間、帯状疱疹は7日間までを原則とすることとされています。
またファムビルは腎臓から排泄されるため腎機能が低下している場合は減量の必要があります。
抗ヘルペスウイルス薬は発病初期に近いほど効果を発揮するため、少しでもヘルペスや帯状疱疹が疑われる場合は、早めの受診が推奨されています。