化膿した時や傷口などに処方される抗生物質の塗り薬がゲンタンシン軟膏(成分名:ゲンタマイシン)です。
ゲンタシンは軟膏の他にクリームも存在します。
ゲンタシンは細菌のタンパク質合成を阻害することで細菌の増殖を抑えます。
ゲンタシンについて薬局で
「家に余ったゲンタシンがあるけどヘルペスに使用できる?」
「ニキビに効果ある?」
「水虫に使用できる?」
といった質問を受けることがあります。
薬局で聞かれる質問を中心にゲンタシンについてまとめてみました。
ゲンタシンを使用する方にとって少しでもお役に立てれば幸いです。
効能・効果
ゲンタシンに効果のある細菌は下記の通りです。
〈適応菌種〉
ゲンタマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属(肺炎球菌を除く)、大腸菌、クレブシエラ属、エンテ ロバクター属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、緑膿菌
また効果のある適応症については
〈適応症〉
表在性皮膚感染症、慢性膿皮症、びらん・潰瘍の二次感染
となっています。
陰部や口唇ヘルペスに使用できる?
ゲンタシン(ゲンタマイシン)には性器ヘルペスや口唇ヘルペスの原因となるヘルペスウイルスへの適応はありません。
しかしヘルペスの病変部位に細菌が感染する二次感染の防止のために処方されることはあります。
ヘルペスウイルスそのものを抑える作用はありませんので、ヘルペスが疑われる場合に自己判断で家にあるゲンタシンを使うのは避けてください。
ニキビに効く?
ニキビはブドウ球菌やアクネ菌が原因となって起こる皮膚感染症です。
ゲンタシンはブドウ球菌には効果がありますが、アクネ菌には適応をとっていません。そのため臨床でニキビ(ざ瘡)に処方されることはまずありません。
ニキビに使われる抗菌薬の塗り薬はアクアチムやダラシン、ゼビアックスになります。。
水虫・カンジダには効く?
水虫やカンジダは真菌という菌が原因となっておこります。
ゲンタシンには真菌を抑える作用はないため、水虫やカンジダには効果はありません。
妊娠・授乳中の使用
妊婦さんや授乳中について、添付文書に注意書きもなく処方されるケースがあります。
ジェネリック医薬品との違い
ゲンタシンには薬価の安いジェネリック医薬品があります。
ゲンタシン軟膏のジェネリック医薬品
- エルタシン軟膏0.1%
- ゲンタマイシン硫酸塩軟膏0.1%「イワキ」
- ゲンタマイシン硫酸塩軟膏0.1%「タイヨー」
先発品と添加物に違いはありますが効能・効果は全く同じです。
ゲンタシンクリームのジェネリック医薬品は販売されていません。
市販薬は販売されている?
ゲンタシンの有効成分であるゲンタマイシンの市販薬は販売されていません。
ゲンタシンに近い市販薬は、テラマイシン軟膏、ドルマイシン軟膏が抗生物質のみが入った塗り薬になります。
ゲンタシンにはステロイドが入っていませんので、市販薬を探す際はステロイドが配合されていない抗生物質単独の塗り薬を選ぶようにしましょう。
ゲンタシンについて薬局で聞かれる質問を中心にまとめてみました。
ゲンタシンは抗生物質のみが入った塗り薬です。歴史もあり、比較的に安全な塗り薬ですが、家に残ったゲンタシンを自己判断で使わず医師や薬剤師の指示のもと、使用しましょう。
ゲンタシンについて気になることがありましたら下記の質問ボックスよりお問い合わせいただけると幸いです。