痔は便秘や下痢、いきみなどで肛門に負担がかかったり、肛門近くの血流が悪くなることで起こり、症状によって下記のタイプに分類されます。
- 痔核(いぼ痔)
うっ血して血管がコブのようになったもの
肛門の内側にできる内痔核・外側にできる外痔核がある - 裂肛(きれ痔)
肛門が切れて傷ができたもの - 痔瘻(じろう)
肛門周囲に炎症が起こり化膿後、膿を排泄するためにトンネルができ、トンネルに感染を繰り返すもの
痔瘻(じろう)となると手術が必要となりますが、痔核(いぼ痔)や裂肛(きれ痔)では炎症を抑える塗り薬や坐薬が処方されます。
痔の治療薬として処方されるプロクトセディル軟膏、プロクトセディル坐薬について有効成分や作用機序、使い方について解説していきます。
有効成分
坐薬1個・軟膏1g中に含まれている有効成分は下記のとおりです。
有効成分 | 含有量 |
---|---|
ヒドロコルチゾン ステロイド | 5mg |
フラジオマイシン硫酸塩 抗菌薬 | 7.1mg |
ジブカイン塩酸塩 局所麻酔 | 5mg |
エスクロシド 出血防止 | 10mg |
プロクトセディル軟膏には2gのタイプと15gが入ったタイプが存在します。
作用機序
プロクトセディル軟膏・坐薬は
- 副腎皮質ステロイド薬
- 抗生物質
- 局所麻酔薬
- 止血薬
の4つの成分が配合されています。
それぞれの作用について説明します。
ヒドロコルチゾン(ステロイド薬)
ステロイド薬で抗炎症作用と抗アレルギー作用があり、患部の炎症や浮腫・血管の拡張・痒みなどを抑えます。
フラジオマイシン硫酸塩(抗生物質)
アミノグリコシド系抗生物質であり細菌のたんぱく質合成を阻害することで殺菌的に作用します。
患部の二次感染の治療・予防目的で配合されています。
ジブカイン塩酸塩(局所麻酔)
痔の時に問題となるのが排便時の「痛み」です。
ジブカインの局所麻酔作用によって、便を出す時の痛みを和らげます。
エスクロシド
血管壁を強くすることで出血を抑えます。
このように4つの異なる成分を配合することで、
炎症や出血、痛みを抑えるとともに、抗菌作用も兼ね備えているのがプロクトセディル軟膏・坐薬です。
妊娠・授乳中の使用
妊婦さんへの使用について製薬メーカーの添付文書では「大量または長期の使用は避けること」とされています。
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、大量又は長期にわたる使用は避けること。
引用元 プロクトセディル添付文書
授乳中については特に記載はなく、「授乳を続けて問題ない」と指導されるケースもあります。
プロクトセディル坐剤の使い方・挿入方法
坐薬はできる限り、排便後に使用します。
坐薬の後ろをティッシュなどでつかみ、先が尖っている方から肛門に挿入します。
入りにくい場合は、先を水などで濡らすか、手で温めると挿入しやすくなります。
中腰になって坐薬を入れた後、立ち上がると完全に中まで挿入されます。
坐薬を挿入後は、坐薬が外に出ていかないようにするためにも30分程度は運動は避けて安静にしておきましょう。
プロクトセディル軟膏の使い方・挿入方法
患部が肛門の内側にあるか、外側にあるかで使用方法が異なってきます。
肛門の外側の場合
外側にできたいぼ痔(外痔核)や、肛門周りの炎症の場合は肛門に直接容器をつけて塗るか、ガーゼなどで塗ります。
大便の後や、入浴後に塗ることをオススメします。
また1個に2g入っていますが、余った薬剤は捨てて必ず1回1個を使うようにしましょう。
肛門の内側の場合
内側にできたいぼ痔(内痔核)、切れ痔など、肛門の入り口から内側にかけて症状がある場合は、容器を肛門に挿入し塗ります。
挿入する前に容器から少し軟膏を出し、容器の先端に付けておくとスムーズに挿入ができます。
容器を押して薬を注入したあと、容器を押した状態で引き抜きます。
1回に1個を使いきるか、余った場合は破棄するようにしましょう。
生活習慣の対策
痔は肛門周辺の血流が悪くなることが原因ですので、血行を良くし、肛門周辺を清潔にするためにもシャワーだけでなく、お風呂に入ることをオススメします。
長時間の座りっぱなしや立ちっぱなしは血流が悪くなりますので、デスクワークや立ち仕事の方は時々姿勢をかえたり、休憩時間に体操をするのもよいでしょう。
とうがらしやコショウなどの香辛料、アルコールなどの刺激物も痔にはよくありませんので、注意する必要があります。
肛門を傷つけてしまう便秘を予防するためにも、食物繊維や水分をしっかりと摂取することを推奨します。
トイレも長時間入ることで、肛門に負担がかかります。
便がでない場合は無理に出そうとせず、自然に出るまで待ちましょう。
日常生活対策のまとめ
- お風呂はシャワーでなく湯船につかる
- 長時間の同じ姿勢に注意
→時々体を動かす - 刺激物(唐辛子・コショウ)・アルコールを控える
- 便秘防止のため食物繊維・水分をしっかり摂取
- トイレで便を無理に出そうとしない