腎臓の機能が落ちた慢性腎不全患者さんは、食事によって吸収されたP(リン)が腎臓から排泄されにくくなるため、血液中のリンの濃度が高くなってしまいます。
P(リン)はCa(カルシウム)と一緒に骨を作ったり、筋肉を作る上で必要なミネラルです。
しかし血液中にリンがたまり「高リン血症」になると副甲状腺ホルモンが分泌され、骨が弱くなったり、血管が石灰化することで心筋梗塞や、脳梗塞など引き起こす可能性がでてきます。
透析をしてもリンの除去が不十分であることから、食事からリンの吸収を抑える薬が処方されます。
リンの吸収を抑える薬にホスレノールがあります。
ホスレノールがどのようにリンの吸収を抑えるのか?作用機序や、飲み方について解説していきます。
ホスレノールの種類・規格
ホスレノールには嚙み砕く「チュアブル」、唾液で溶ける「OD錠」、「顆粒」の3つの剤形が存在します。
- ホスレノールチュアブル錠250mg,500mg
- ホスレノールOD錠250mg,500mg
- ホスレノール顆粒分包250mg,500mg
作用機序(メカニズム)
ホスレノールの有効成分である炭酸ランタンが消化管からリン(P)が吸収されるのを抑えることで、血中のリン濃度の上昇を抑えます。
具体的にどのようにリンの吸収を抑えるのか解説します。
リンは消化器の中ではPO43-(リン酸)として存在します。
炭酸ランタンに含まれるLa3+(ランタン)がPO43-(リン酸)と結合し、リン酸ランタンとなり、便からリンを排泄するのです。
La3+・CO32-(炭酸ランタン) + PO43-(リン酸) → La3+・PO43-(リン酸ランタン) + CO32-
飲み方(ホスレノール顆粒・OD・チュアブル)
ホスレノール顆粒、ホスレノールOD錠、ホスレノールチュアブル錠についてそれぞれの飲み方を解説していきます。
ホスレノールチュアブル錠の飲み方
チュアブル錠は食事の直ぐあとに口の中で噛み砕いて服用します。
しっかり噛み砕かないと腸の中で溶けなくなるため、10回を目安に噛んで服用しましょう。
もし嚙み砕くのが難しい場合は、口で溶けるOD錠や、粉の顆粒タイプに処方変更してくれるケースもありますので主治医に相談するとよいでしょう。
ホスレノールOD錠の飲み方
OD錠は食事の直ぐ後に、口の中で溶かし、唾液か少量の水で飲み込みます。
口の粘膜から吸収される舌下錠ではありませんので、必ず唾液や水で飲み込んでください。
ホスレノール顆粒の飲み方
ホスレノール顆粒は食事の直ぐ後に、少量の水やお湯で服用します。
水やお湯で飲みにくい場合は味噌汁やスープ、ご飯にかけて服用してもいいと指導されるケースもあります。
食直後に飲む理由
ホスレノールは食事の直後に服用します。
食直後とは食事のすぐあと、5分後くらいまでを目安に服用しなければいけません。
作用機序からもわかるように、ホスレノールは食事によるリンの吸収を抑える薬です。
そのため、タイミングが早すぎても、遅すぎても十分な効果を発揮しないためです。
飲み忘れた場合の対応
食事の直後の飲み忘れに気づいた場合、一般的には食後30分以内であれば服用して問題ないとされています。
食事をして30分以上経過した場合は、1回分を飛ばして次回から正しい量で服用します。
主治医から特別指示がある場合はそちらに従うようにしましょう。
レントゲンにランタンがうつる可能性あり
ホスレノールを服用中に消化管のレントゲンを取ると、胃腸管にバリウムのような陰影がでてくることがあります。
そのためホスレノールを服用中にレントゲンをとる際は、必ずホスレノールを服用していることを伝えるようにしましょう。