P(リン)はCa(カルシウム)と一緒に骨を作ったり、筋肉を作る上で必要なミネラルです。

しかし慢性腎不全患者さんでは腎臓からのリンの排泄がうまくできず、血液中のリンの濃度が上昇してしまいます。

血液中にリンがたまり「高リン血症」になると副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、二次性副甲状腺機能亢進症となり骨が弱くなったり、血管が石灰化することで心筋梗塞や、脳梗塞など引き起こす可能性がでてきます。

透析をしてもリンの除去が不十分であることから、食事からリンの吸収を抑える薬が処方されます。

リンの吸収を抑える薬はいくつか種類がありますが、リン酸と結合するポリマー(重合体)にキックリン(一般名:ビキサロマー)という薬があります。

他のリン吸収抑制薬に含まれるようなカルシウムやランタンなどを含まないことから、高カルシウム血症や、金属の組織蓄積の懸念がないことが特徴です。

キックリンの作用機序、飲み方について解説していきます。

キックリンの規格・剤型

キックリンにはカプセルと顆粒タイプが存在します。

  • キックリンカプセル250mg
    1カプセル中にビキサロマー250mgを含有
  • キックリン顆粒86.2%
    1g中にビキサロマー862mgを含有

作用機序(メカニズム)

キックリンの有効成分であるビキサロマーは消化管の中のリン酸と結合することで、便からリンを排泄させ、消化管から血液へ吸収されるリンを抑える働きがあります。

飲み方・食直前に服用する理由

キックリンは食直前、食事の5〜10分前に服用します。
食直前に服用する理由ですが、作用機序を考えればわかるように、食事から服用のタイミングから早すぎたり、遅すぎたりすると食物に含まれるリンの吸収抑制の効果に影響がでてきてしまうためです。

飲み忘れ時の対応

飲み忘れた時は、一般的には1回分を飛ばして次回から正しいタイミングで1回量を服用することとされています。

2回分を一度に服用するのは絶対に避けてください。

レナジェル(セベラマー塩酸塩)との違い

腎臓病による高リン血症に使用される薬はいくつか種類がありますが、リン酸と結合するポリマー(重合体)にレナジェル(一般名:セベラマー塩酸塩)という薬があります。

レナジェルとキックリンはどちらも消化管の中で膨潤するのですが、膨潤する度合いはキックリンの方が低いことから、腹部膨満感や便秘といった消化器系の副作用頻度はキックリンの方が低いのが特徴です。

主な副作用

製薬メーカーの資料(インタビューフォーム)によると、主な副作用は、便秘・便秘増悪(15.9%)、硬便(2.6%)、腹部不快感(1.8%)、腹部膨満(1.0%)となっています。(502例中)

便秘が続いたり、お腹の張りがひどい場合は、主治医に相談するようにしましょう。