肩こりや腰痛など筋肉の緊張をほぐす筋弛緩薬がテルネリン(一般名:チザニジン)です。

テルネリンには薬価の安いジェネリック医薬品としてチザニジン錠が存在します。

テルネリンについて薬局で患者さんから聞かれる質問についてまとめました。

テルネリンを服用する方の悩みの解決にお役に立てると幸いです。

効能・効果

テルネリン(チザニジン)は中枢神経に作用し過剰な筋肉の緊張状態となっている神経伝達を抑え、肩こりや腰痛、筋肉のこわばりや麻痺を改善します。

テルネリンが保険の効く効能・効果は下記のとおりです。

下記疾患による筋緊張状態の改善
頸肩腕症候群、腰痛症

下記疾患による痙性麻痺
脳血管障害、痙性脊髄麻痺、頸部脊椎症、脳性(小児)麻痺、外傷後遺症(脊髄損傷、頭部外傷)、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症

 

効果発現時間・持続時間(Tmax・T1/2)

薬を服用して血中濃度が最大になるまでの時間をTmax、その後血中濃度が半分ずつに分解される時間をT1/2(ティーハーフ)または半減期といいます。

テルネリンを健康な人が2mg服用した時のTmax、T1/2は下記の通りです。

TmaxT1/2
1hr1.58hr

テルネリンは服用後1時間後に血中濃度が最大になり、その後約1.6時間ごとに薬が半分ずつ分解されていきます。

即効性はありますが、持続時間は6時間程度と短いのが特徴です。

お酒(アルコール)は飲んで大丈夫ですか?

「テルネリン(チザニジン)服用中にお酒を飲んで大丈夫?」

といった質問を受けることがあります。

テルネリンを服用中にお酒を飲むと眠気やふらつきが強く現れることから「併用注意」となっています。

絶対に飲んではいけないわけではありませんので、飲み会などお付き合いの時程度であれば問題はないですが、飲む量を抑え、飲んだ際はふらつきに注意するようにしましょう。

飲み忘れた場合の対応は?

テルネリンを飲み忘れた場合は気付いた時に服用して問題ありません。

ただし次回服用までに4時間以内の場合は忘れた分をとばし、次回服用分から正しい量を服用してください。

妊娠中・授乳中の服用

妊婦さんには「治療上の有益性が危険性を上回る場合にOK」となっています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(動物実験(ラット)で、大量投与(100mg/kg)により奇形(脳ヘルニア、小眼球)の増加及び10~30mg/kg投与により胎仔重量の低下、化骨遅延、出生児の死亡等が報告されている)

引用元 テルネリンインタビューフォーム

  動物実験で催奇形性が報告されていますが、投与量が通常量の数百倍以上の時となっています。

通常の量では催奇形性は報告されていません。

授乳中は母乳へ移行することから「授乳を中止すること」とされています。

授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。
(動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。)

引用元 テルネリンインタビューフォーム

 

長期で服用して依存性はありますか?

「テルネリンを長く飲んでいるけど依存性がないか心配・・・」

といった相談を薬局で受けることがあります。

テルネリンは動物実験(サル)で精神依存の形成が示唆されたとの報告はありますが、ヒトでの依存性試験では、精神依存の形成は認められていないとのことです。

肩こりに処方される筋弛緩作用のあるデパス(一般名:エチゾラム)には依存性が認められています。
 

ロキソニン(ロキソプロフェン)との飲み合わせは?

テルネリンはロキソニン(一般名:ロキソプロフェンナトリウム)と併用されることがあります。
飲み合わせは大きな問題はありません。

フルボキサミン(ルボックス・デプロメール)シプロキサシン(シプロキサン)と禁忌

抗うつ薬でSSRIに分類されるフルボキサミン(商品名:ルボックス、デプロメール)や抗生物質のシプロキサシン(商品名:シプロキサン)はテルネリンと一緒には飲んではいけない「併用禁忌(へいようきんき)」となっています。

テルネリンの代謝酵素であるCYP1A2(シップワンエーツー)をこれらの薬剤が阻害するため、併用するとテルネリンの分解が邪魔され、効きすぎてしまうからです。

薬剤師が併用をチェックしてくれるため、実際に出されることはほとんどないですが、別の病院にかかった際など注意が必要です。