閉経後の乳がん治療薬として処方されるのがフェマーラ錠(一般名:レトロゾール)です。
フェマーラ錠がどのように効果を示すのか作用機序や、服用時の注意点について解説していきます。
エストロゲンと乳がんの関係
乳がんの発生・増殖には女性ホルモンであるエストロゲンが関与しているといわれています。
エストロゲン(女性ホルモン)は下記のように、卵巣と副腎から合成されます。
- 卵巣→エストロゲン(女性ホルモン)
- 副腎→アンドロゲン(男性ホルモン)→エストロゲン(女性ホルモン)
閉経前の女性は主に卵巣からエストロゲン(女性ホルモン)が作られます。
しかし閉経すると卵巣→エストロゲンの経路が働かなくなります。
そのかわりに副腎からアンドロゲン(男性ホルモン)が分泌され、脂肪組織や乳がん細胞のアロマターゼという酵素によって、アンドロゲン(男性ホルモン)はエスロゲン(女性ホルモン)に変換されます。
このように閉経前と閉経後によってエストロゲンの生成経路が異なってくるのです。
閉経後の乳がんの治療薬として使用されるのがアロマターゼ阻害薬です。
フェマーラ錠(一般名:レトロゾール)はアンドロゲン(男性ホルモン)からエストロゲン(女性ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼの働きを阻害することでエストロゲンの生成を抑えます。
エストロゲンの生成を抑えることで、乳がん増殖を抑制するのです。
車の運転に注意
フェマーラ錠を服用すると疲労、めまい、傾眠の副作用が起こることがあるので、自動車の運転は注意しなければいけません。
ほてりの副作用
アロマターゼ阻害薬によってエストロゲンが減ることで起こる副作用がほてりです。
服用を続けると軽減する傾向にありますが、通気性のよい服を着て、うちわなどを携帯するようにしましょう。
副作用でコレステロールが上昇する?
フェマーラ(レトロゾール)の代表的な副作用に血中コレステロールの増加があります。
インタビューフォーム(製薬メーカーの資料)によると血中コレステロール増加の発現率は8.7%(23 件/265 例中)となっています。
そのため「食事に気を使っているのにコレステロールが上昇してしまう」といったことがおこるのです。
関節痛・骨粗鬆症の副作用について
エストロゲン(女性ホルモン)は骨量を保つ役割もあることから、アロマターゼ阻害薬でエストロゲンが減少すると、骨に影響がでてくることがあります。
関節の痛みなど我慢できない場合は主治医に相談するようにしましょう。