閉経後の乳がん患者さんに処方されるのがアロマターゼ阻害薬のアリミデックス錠(一般名:アナストロゾール)です。

アリミデックスがどのように乳がんに効果を示すのか、作用機序と、服用時の注意点について解説していきます。

アリミデックス(アナストロゾール)作用機序

乳がんの発生・増殖には女性ホルモンであるエストロゲンが関与しているといわれています。

エストロゲン(女性ホルモン)は下記のように、卵巣副腎から合成されます。

  • 卵巣→エストロゲン(女性ホルモン)
  • 副腎→アンドロゲン(男性ホルモン)→エストロゲン(女性ホルモン)

閉経前の女性は主に卵巣からエストロゲン(女性ホルモン)が作られます。

しかし閉経すると卵巣→エストロゲンの経路が働かなくなります。

そのかわりに副腎からアンドロゲン男性ホルモン)が分泌され、脂肪組織や筋肉など広く分布するアロマターゼという酵素によって、アンドロゲン(男性ホルモン)はエスロゲン女性ホルモン)に変換されます。

このように閉経前と閉経後によってエストロゲンの生成経路が異なってくるのです。

閉経後の乳がんの治療薬として使用されるのがアロマターゼ阻害薬です。

アリミデックス錠(一般名:アナストロゾール)はアンドロゲン(男性ホルモン)からエストロゲン(女性ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼの働きを阻害することでエストロゲンの生成を抑えます。

エストロゲンの生成を抑えることで、乳がん増殖を抑制するのです。

副作用の関節痛の原因

アリミデックス錠の主な副作用が関節痛です。

製薬メーカーの資料(インタビューフォーム)によると発現率は1.1%(38件/3536件中)となっており、アリミデックスの副作用の中でもっとも発現率が高くなっています。

エストロゲン(女性ホルモン)は骨量を保つ役割もあることから、アロマターゼ阻害薬でエストロゲンが減少すると、骨に影響がでてくることがあります。

関節の痛みなど我慢できない場合は主治医に相談するようにしましょう。

ほてりの副作用

アロマターゼ阻害薬によってエストロゲンが減ることで起こる副作用がほてりです。

アリミデックス錠は、ほてりの副作用の発生頻度は0.9%(31 件/3536件中)と、他のアロマターゼ阻害薬と比べて低くなっています。

ほてりが起こったとしても服用を続けると軽減する傾向にありますが、通気性のよい服を着て、うちわなどを携帯するようにしましょう。

車の運転に注意

アリミデックスとの関連性は明確にはなっていませんが傾眠や無力症が報告されていることから、念のため自動車の運転は注意しなければいけません。