抗アンドロゲン薬に分類される前立腺がんの治療薬がカソデックス錠(一般名:ビカルタミド)です。
カソデックス錠は口の中で溶けるタイプのカソデックスOD錠も存在します。
また薬価の安いジェネリック医薬品としてはビカルタミド錠+メーカー名、ビカルタミドOD錠+メーカー名として存在します。
最近では後発医薬品の普及政策もあり、ドクターの指示や患者さんの希望でジェネリック医薬品で処方されるケースが増えてきました。
カソデックス(ビカルタミド)がどのように前立腺がんに効果を示すのか、作用機序を解説していきます。
アンドロゲンとは?
男性ホルモンは総称してアンドロゲン(androgen)と呼ばれます。
アンドロゲンには
- テストステロン
- ジヒドロテストステロン(DHT)
- デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
があります。
血中に分泌されるアンドロゲンは精巣から分泌されるものが95%、副腎皮質からが5%となっています。
カソデックス(ビカルタミド)作用機序
副腎皮質由来のアンドロゲンは末梢組織や前立腺組織でテストステロンに変換されます。
テストステロンは前立腺細胞内で5α-還元酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、前立腺細胞内のアンドロゲン受容体に結合することで前立腺腫瘍の細胞増殖が促進されます。
副腎由来アンドロゲン(DHEA)
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テストステロン(前立腺組織内)
▼5α-還元酵素
DHT(前立腺細胞内)
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DHTがアンドロゲン受容体に結合
▼
前立腺腫瘍の細胞増殖
カソデックス(ビカルタミド)はジヒドロテストステロン(DHT)がアンドロゲン受容体に結合するのを阻害することで、前立腺腫瘍の細胞増殖を抑えます。
胸(乳房)の腫れ・痛みの副作用
カソデックス(ビカルタミド)で一番頻度が高い副作用が乳房腫脹(胸のはり)、乳房圧痛(胸の痛み)です。
製薬メーカーの資料(インタビューフォーム)によると、3927例中、乳房腫脹211件(5.4%)、乳房圧痛193件(4.9%) が報告されています。
カソデックス(ビカルタミド)は抗アンドロゲン薬=男性ホルモンの働きを抑える作用がありますので、女性のように胸が張るということが現れるのです。
胸の張りや痛みは頻度の高い副作用ですが、症状が現れた際には主治医に伝えるようにしましょう。