乳癌患者さんの大半以上は、乳癌の増殖にエストロゲン(女性ホルモン)を必要とします。

エストロゲンが乳癌の増殖に関与しているタイプ(エストロゲン感受性乳癌)の場合、エストロゲンの働きを抑える薬が処方されることがあります。

フェアストン(一般名:トレミフェンクエン酸塩)は抗エストロゲン薬に分類され、エストロゲンの働きを抑え、乳癌の増殖を抑えます。

閉経後乳癌のみに適応があります。

フェアストン(トレミフェン)について作用機序や服用時の注意点を解説していきます。

作用機序

フェアストン(トレミフェン)は乳癌の増殖に必要なエストロゲンの働きを抑えます。

閉経前はエストロゲン(女性ホルモン)は主に卵巣から生成され、閉経後は主に副腎から生成されます。

エストロゲンが、がん細胞内にあるエストロゲン受容体に結合すると乳癌細胞が増殖します。

フェアストン(トレミフェン)はエストロゲンであるエストラジオールがエストロゲン受容体に結合するのを邪魔し、エストロゲンの働きを抑え乳癌細胞の増殖を抑えるのです。

抗がん剤の化学療法に比べて細胞毒作用による骨髄抑制や脱毛などの重篤な副作用が少ないが特徴です。

中性脂肪(TG)増加の副作用

フェアストン(トレミフェン)の主な副作用が中性脂肪(トリグリセライド)の上昇です。

インタビューフォーム(製薬メーカーの資料)によると中性脂肪の増加は2.4%(4382例中)で報告されています。

ほてり・のぼせの副作用

フェアストン(トレミフェン)はエストロゲン(女性ホルモン)の働きを抑える薬です。

エストロゲンの働きが減ると、体温調節がうまくできず、ほてりのぼせ発汗などの副作用が現れることがあります。

ほてりやのぼせの副作用は服用後、数ヶ月で軽減していきますが我慢できない場合は主治医に相談しましょう。

涼しい格好をし、扇子などを携帯すると良いでしょう。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)

フェアストンは薬価の安いジェネリック医薬品が販売されています。

  • トレミフェン錠40mg・60mg「サワイ」

沢井製薬からのみとなっており、40mg、60mgともにジェネリックとして存在します。

有効成分や効能・効果は全く同じとなっています。