口の渇きに効く薬ってありますか?

ドラッグストアで薬剤師として働いている時に時々受ける質問なのですが、シェーグレン症候群などによる口の渇き(ドライマウス)に、保険の効く薬はいくつかあります。

医療現場で使われている口腔乾燥改善治療薬について、特徴や効能・効果などについてまとめてみました。

サリベートエアゾールの使い方・味・特徴

口の渇きでよく使われる薬剤は人口唾液のサリベートエアゾールです。
塩化ナトリウムが入っているため少ししょっぱい味がします。

サリベート

出典 帝人ファーマ

サリベート作用機序

サリベートエアゾールは人口唾液といわれ、乾いた口の中にスプレーし、唾液を補い口の中の乾燥を防ぎます。

サリベート有効成分

サリベート1缶50g中に

塩化ナトリウム 42.2mg
塩化カリウム 60.0mg
塩化カルシウム水和物 7.3mg
塩化マグネシウム 2.6mg
リン酸二カリウム 17.1mg

が含有されています。

サリベートの効能・効果

サリベートの効能・効果は下記の通りです。

シェーグレン症候群による口腔乾燥症
頭頸部の放射線照射による唾液腺障害に基づく口腔乾燥症

鼻炎薬や精神病薬による口の渇きでは保険適応されません。

サリベートの用法・用量

サリベートの用法・用量ですが1回に1~2秒間口腔内に1日4~5回噴霧します。

サリベートの副作用

確率は0.1~5%と決して高くはないですが下記の副作用が報告されています。

蕁麻疹、そう痒 消化器 嘔気、味覚変化、腹部膨満感、 腹部不快感、腹鳴、口内痛等 その他 咽頭不快感

使用の注意点

よく振って、垂直に立てて噴霧してください。
また使用後は噴射口付近をよく拭きとり、清浄に保存しましょう。
1回1秒間の噴霧を30回以上行うと、1回当たりの噴霧液量が少なくなることが報告されているので、時々噴霧時間を長くするとよいかと思います。

サラジェン作用機序・飲み方・特徴

シェーグレン症候群などの口の渇きに処方される経口薬がサラジェン(成分名:ピロカルピン塩酸塩)です。

サラジェンには錠剤タイプと顆粒タイプがあります。

サラジェン

出典 キッセイ薬品

サラジェンの作用機序

緊張して口が乾いた経験はありませんか?

緊張すると交感神経が活発となるため口の渇きがでます。
サラジェンの有効成分であるピロカルピン塩酸塩は南米植物由来の成分で、副交感神経を刺激する作用があります。

つまり緊張する時と逆の働きをし、唾液の分泌が促されるのです。

特にサラジェンは唾液腺にある副交感神経を作動させるムスカリン受容体に作用するのが特徴です。

サラジェンの有効成分

サラジェン1錠あたり、ピロカルピン塩酸塩が5mg含有されています。

サラジェンの効能・効果

サラジェンの効能・効果は下記のようになっています。

頭頸部の放射線治療に伴う口腔乾燥症状の改善
シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の改善

また保険適応外でドライアイに使用されることもあります。

サラジェンの用法・用量

成人にはピロカルピン塩酸塩として1回5mgを1日3回,食後に経口投与する

となっています。空腹時に服用すると副作用が強く出たという報告もあり、食後30分以内に服用しなければいけません。

サラジェンの妊娠・授乳中の服用

発売メーカーの資料から抜粋します。

妊婦さんには下記のとおり有益性が上回るのみOKとなっています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[動物実験(ラット)において死産頻度の増加,新生児の生存率低下,平均体重の減少及び骨化遅延の発生頻度の増加が認められている。また,動物実験(ラット)で,受胎率の低下が認められている。]

授乳中の場合は下記の通りです。

授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で,乳汁中への移行が認められている

 

エボザック・サリグレン作用機序・特徴

サラジェンと同じ副交感神経刺激薬としてエボザックカプセル(メーカー:第一三共)、サリグレンカプセル(メーカー:日本化薬)があります。

エボザック

出典 第一三共

 

sali_6

出典 日本化薬

 

エボザック・サリグレン作用機序

サラジェンと同様に唾液腺にある副交感神経を作動させるムスカリン受容体に作用することで唾液の分泌を促します。

エボザック・サリグレン有効成分

エボザック、サリグレン共に同じセビメリン塩酸塩水和物が含まれています。

エボザック・サリグレンの効能・効果

シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の改善

また保険適応外でドライアイに使用されることもあります。

エボザック・サリグレンの用法・用量

通常、成人にはセビメリン塩酸塩として1回30mgを1日3回、食後に経口投与する。

となっています。

エボザック・サリグレンの副作用

主な副作用は、悪心、下痢等の胃腸障害、多汗等の皮膚及び皮下組織障害、めまい等の神経系障害、頻尿等の腎及び尿路障害、倦怠感等の全身障害、ALT(GPT)上昇となっています。