風邪、副鼻腔炎、クラミジア感染症(肺炎のみ)に処方されるのが抗生物質のジェニナック錠200mg(成分名:ガレノキサシン)です。
ジェニナックはニューキノロン系という抗生物質に分類され、細菌のDNAの合成を阻害することで細菌を殺す作用があります。
効き目が鋭いことから風邪をこじらせた場合などに処方されるケースがあります。
ジェニナックについて薬局で聞かれる質問を中心にまとめてみました。
ジェニナックの効能・効果
ジェニナックが効く細菌と症状について抜粋します。
適応菌
ガレノキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
適応症
ジェニナックの適応症は
咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎
となっています。
ジェニナックは膀胱炎の適応はとっていません。
用法・用量(飲み方)
成人においてガレノキサシンとして、1回400mgを1日1回経口投与する。
となっています。
ジェニナック錠200mgを1日1回2錠服用すればOKです。
1日2回で飲んだらダメ
「2錠を2回に分けて飲んだらダメ?」
と聞かれることがありますが、ジェニナックは濃度依存型抗生物質といわれ、一度に高い濃度を投与した方が効果が出る薬です。
2回に分けて服用すると効き目が悪くなったり、耐性菌が出てくることがあるので、1回2錠で服用することとなっています。
妊娠中の服用
ジェニナックは妊娠中の方には「禁忌」といって処方ができない抗生物質となっています。
製薬メーカーの資料を抜粋します。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
引用元 ジェニナックインタビューフォーム
授乳中の服用
ジェニナックは母乳中に移行しますので「授乳は避けること」となっています。
授乳中の婦人に投与する場合には、授乳を中止させること。(ヒト母乳中へ移行することが認められている)
引用元 ジェニナックインタビューフォーム
また15歳以下の小児には服用させることはできません。
副作用
ジェニナックの主な副作用は下記の通りになります。(1%以上、頻度不明のみ抜粋)
肝臓
AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加、γ-GTP増加、血中ALP増加、血中LDH増加、ビリルビン増加
腎臓
尿中蛋白陽性・着色尿
消化器
下痢、軟便、便秘、血中アミラーゼ増加
代謝異常
血中カリウム増加、血中ブドウ糖増加、血中ブドウ糖減少
血液
好酸球数増加、白血球数減少、リンパ球形態異常
その他
血中CK(CPK)増加、CRP増加、寒冷凝集素陽性、発疹、光線過敏症
サプリメントとの併用
ジェニナックと、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛を含むものや、ミネラル入りビタミン剤等と一緒に服用するとジェニナックの吸収が低下しますので、2時間以上は間隔をあけて飲むようにしましょう。
お酒(アルコール)との併用
ジェニナックとお酒は併用注意とはなっておらず飲み合わせ自体は問題ありません。
しかし、細菌感染時にお酒を摂取するのは控えた方がいいでしょう。
痙攣誘発に注意する解熱鎮痛剤
フェニル酢酸系、プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤をジェニナックのようなニューキノロン系抗生物質と併用すると痙攣を誘発する可能性があるとされています。
フェニル酢酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤
・ボルタレン(成分名:ジクロフェナクナトリウム)
・ハイペン(成分名:エトドラク)
プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤
・ロキソニン(成分名:ロキソプロフェンナトリウム)
・ペオン・ソレトン(成分名:ザルトプロフェン)
ロキソニン・カロナールとの併用
ニューキノロン系抗生物質とロキソニンなどのNSAIDsと呼ばれる解熱鎮痛剤と併用すると痙攣を誘発する恐れがあるとされていましたが、実際臨床現場では頻繁に併用されています。
ジェニナックに関しても、ロキソニンとの併用により中枢神経系における GABAA 受容体への結合阻害が増強され痙攣を誘発する恐れがあるとされていますが極めて頻度は低いので神経質にならなくても問題ないかと思います。
製薬メーカーが行った動物実験ではジェニナックはγ-アミノ酪酸(GABAA)受容体阻害作用はなかったと報告されています。
カロナール(コカール)については併用注意とはなっていません。
ニトログリセリン(ニトロペン)・硝酸イソソルビド(アイトロール)との併用
外国での注射剤の臨床試験において、 ジェニナックとニトログリセリンや硝酸イソソルビドの併用により血圧低下の発現頻度の増加傾向が認められているため注意して服用するようにとなっています。
詳しい理由は分かっていないようです。
・ニトログリセリンを含む薬
ニトロペン・ニトロダーム・ミオコール・ジドレンテープ
・硝酸イソソルビドを含む薬
アイトロール・ニトロール・イソコロナール・フランドル
ワルファリン(ワーファリン)との併用
ジェニナックとワルファリン(ワーファリン)を併用すると、ワルファリン(ワーファリン)の作用を増強させ、出血、プロトロンビン時間の延長等が現れることがあるため、併用中は観察を十分に行い、血液凝固能検査を行うなど注意することとなっています。
詳しい理由は分かっていないそうです。
テオフィリン(テオドール)との併用
ジェニナックと気管支拡張薬のテオフィリンを併用するとテオフィリンの濃度が上昇する可能性があります。
こちらも詳しい理由は分からないようです。
テオフィリンの中毒症状(動悸・頭痛・手の震え、吐き気、痙攣など)が起こることがあるので注意が必要です。
・テオフィリンを含む薬
テオドール、ユニフィル、ユニコン
血圧の薬との併用
降圧剤や利尿剤などとジェニナックを併用すると、血圧が低下することが報告されています。
理由は分かってはいません。
糖尿病の薬との併用
血糖値を下げる糖尿病薬とジェニナックを併用すると血糖降下作用が増強し、低血糖症状(震え、空腹感、冷や汗)が出る可能性があります。