薄毛に効果のある男性専用の脱毛症治療薬がザガーロカプセル(成分名:デュタステリド)です。
デュタステリドは元々、アボルブカプセルという前立腺肥大症の治療薬として販売されていますが、薄毛を改善することが分かり、名前を変えて脱毛症治療薬として承認されました。
ザガーロが薄毛に効果のある理由・作用機序
健康的なヘアサイクルは成長期(2~6年)・退行期(2週間)・休止期(3~4ヵ月)となっており、年を重ねると成長期が短くなることで薄毛がじわじわ進むと言われています。
成長期を短くさせる物質はジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれ、男性ホルモンであるテストステロンが5α還元酵素という酵素によって分解されることで生成されます。
ザガーロ(成分名:デュタステリド)は5α還元酵素を阻害することで成長期を短縮させるジヒドロテストステロンの生成を抑え、薄毛を解消することができるのです。
プロペシア(フィナステリド)との違い・併用は可能?
日本で飲むタイプの薄毛治療薬はプロペシア(成分名:フィナステリド)が最初に発売されました。
プロペシアもザガーロと同じように5α還元酵素を阻害することで薄毛を解消するのですが、細かくみると少し異なりますので解説したいと思います。
テストステロンをジヒドロテストステロンに分解する5α還元酵素には1型と2型が存在します。
プロペシアは5α還元酵素の2型をブロックするのに対して、ザガーロは1型と2型ともにブロックするといわれています。
1型と2型をダブルブロックするザガーロの方がプロペシアに比べて効果も高く、ザガーロカプセルを0.5mgとプロペシア1mgを24週間服用した場合の髪の量の変化が約1.6倍ザガーロの方が高かったと報告されています。
なお、プロペシアとザガーロは同じ作用機序の薬のため併用はできません。
飲み方・効果がでるまでの時間
ザガーロは0.1mgと0.5mgの2つの規格があります。
通常は0.1mgを1日1回服用し、必要に応じて0.5mgを1日1回で服用します。
食後だと少し吸収が落ちることが報告されていますので空腹時に1日1回服用するのがよいでしょう。
また服用時間ですが、朝でも昼でも夜でもいつ服用しても効果に差はありません。
服用時間について主治医の指示に従うようにしましょう。
効果が実感できるまでの期間ですが、飲み始めて12週間で改善が認められる場合もあるそうですが、効くか効かないか判断するために6ヵ月間の治療が必要となります。
アボルブとの違い・併用
前立腺肥大治療薬のアボルブカプセル0.5mgがありますが、まったく同じ薬です。
そのため前立腺肥大の治療でアボルブを服用している場合はザガーロは併用できませんので注意してください。
アルコールは飲んでいい?
お酒との飲み合わせは問題ありません。
副作用で性欲が低下?インポテンツになる?
ザガーロで性機能の副作用が報告されています。
国内長期投与試験において、本剤が投与された総症例120例中20例(16.7%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、勃起不全13例(10.8%)リビドー減退10例(8.3%)射精障害5例(4.2%)
薬価・価格
ザガーロは自費薬のため薬価未収載品となっています。
そのため保険は効きません。
なお同じ成分のアボルブカプセル0.5mgは1カプセルあたり210円となっています。
プロペシアは病院によって価格がバラバラですが1ヶ月分で4000円~6000円程度なのでザガーロも同じくらいかやや高めの設定になると思います。
発売日延期と理由
ザガーロはフランスの工場で作られる予定だったのですが、他の製品で異物の購入があったことから2015年11月より工場の稼働が一時停止になったそうです。
また前立腺肥大の治療薬であるアボルブもフランス工場でしか製造されておらず、出荷停止となり薬局でも2015年末から入荷ができない状態になっています。
2016年1月に日本の今市工場で製造が認められたそうですが、前立腺肥大症治療薬としては唯一の作用機序の薬のためアボルブの製造が優先されそうです。
発売日は2016年6月13日・都内の価格相場は1万円
発売が遅れていたザガーロですが、2016年6月13日に発売となりました。
価格は自費扱いとなり、病院が自由に値段を設定できるのですが、東京都内の平均は診察代も含めて月1万円ほどとなっています。