花粉症などのアレルギー性結膜炎に使用される目薬がパタノール点眼液(成分名:オロパタジン塩酸塩)です。
「パタノール点眼液はコンタクトレンズをつけたまま使用できる?」
「妊娠中だけど使える?」
「授乳はできる?」
といった薬局で患者さんから聞かれる質問を中心にまとめてみました。
パタノール点眼液が処方された方の疑問を少しでも解決できると幸いです。
使い方・点眼方法
通常、パタノール点眼液は1回1~2滴1日4回、朝、昼、夕方、寝る前の間隔で使用します。その際に容器の先が目につかないように注意しましょう。
晩御飯を食べて寝るまでの時間が短い場合、夕と寝る前の間隔は短くなっても問題ないと考えます。
他の目薬と併用する場合は基本的には5分以上間隔をあけて使用します。
アレロックと同じ成分
パタノール点眼液の有効成分であるオロパタジン塩酸塩は内服薬ではアレロック錠やアレロック顆粒として販売されています。
ものもらいに効果ある?
ものもらいは細菌が感染することで起こります。
パタノール点眼液には細菌を抑えたり、殺菌作用はないため、ものもらいになったからといって家に残ったものを使用するのは避けるようにしましょう。
妊娠中・授乳中の使用
妊娠中のパタノール点眼液の使用ですが、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみOKとなっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
引用元 パタノール点眼液インタビューフォーム
ラットでの試験では高用量で投与しても催奇形性は認められなかったそうです。
また、製薬メーカーの説明書では授乳中にパタノール点眼液を使用する場合は、母乳に移行することがあるため授乳を中止させることとなっています。
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット、経口)で乳汁中への移行及び出生児の体重増加抑制が報告されている。]
引用元 パタノール点眼液インタビューフォーム
しかし、海外の基準ではパタノール点眼液の授乳時の使用は比較的安全(L2)に位置づけられています。
概ね適合(比較的安全):probably compatible 少数例の研究に限られるが、乳児への有害報告なし。リスクの可能性がある根拠はほとんどない。
製薬メーカーの説明書では少しでも母乳に移行すれば「授乳を中止すること」となっていますが、実際は母乳中への移行は極めて少量で赤ちゃんに影響がでないケースが多くあります。
パタノール点眼液も母乳への移行はごくわずかで、赤ちゃんへの影響も出ないことから授乳を中止しなくても良いと指導されることが多いです。
ソフトコンタクトレンズの上からの使用
2017年時点でパタノール点眼液の防腐剤にベンザルコニウム塩化物が使用されています。
ベンザルコニウム塩化物はソフトコンタクトレンズに吸着し角膜に炎症を起こすことが報告されているため、ソフトコンタクトレンズを外して点眼するようになっています。
なお点眼して10分以上経てばコンタクトを装着していいと一般的には指導されます。
ワンデイの使い捨てタイプのコンタクトレンズの場合は装着したまま使用しても問題ないと指示される眼科のDrもいらっしゃいます。
開封後の使用期限・保管方法
パタノール点眼液を開封した後はたとえ使用期限内であっても1ヶ月以内で使い切るか1ヶ月を経過したら廃棄するようにしましょう。
また保管方法は冷蔵庫でなく室温保存となっています。
フルメトロン点眼液・オドメール点眼液との併用・順番・間隔
ステロイドの入った抗炎症薬であるフルメトロン点眼液やオドメール点眼液と同時に処方されることが多くあります。
フルメトロン点眼液やオドメール点眼液は「懸濁性」の目薬ですので最後に点眼することが推奨されます。
パタノール点眼液を点眼した後、5分の間隔をあけてフルメトロン点眼液(オドメール点眼液)をよく振って使用しましょう。
クラビット点眼液との併用・順番・間隔
細菌感染時には抗生物質のクラビット点眼液(成分名:レボフロキサシン)が併用されることがあります。特にDrからの指示がない場合、5分以上間隔をあければどちらを先に使用しても問題ないと考えます。
基本的には効かせたい目薬を最後に使用した方がいいため、目やになどがひどい場合は、パタノール点眼液を先に点眼し、5分以上間隔をあけてクラビット点眼液を使用するように薬局では指導しています。
市販薬は売ってる?
パタノール点眼液の市販薬は販売されていません。
パタノール点眼液に近い市販薬といえば「ケトチフェン」という抗ヒスタミン薬が入ったものになります。
ドラッグストアや薬局で「ケトチフェンの入った目薬はありますか?」といえば出してもらえるかと思います。
花粉症の時によく処方されるアレロック、ジェネリックならオロパタジンの目薬版がパタノール点眼液です。
ステロイドや抗菌薬などと併用されることがありますが、5分間あければ通常は問題ないと考えます。
パタノール点眼液で疑問がありましたら下記の質問ボックスから気軽にコメントくださいませ。