耳鳴りがある時に処方される薬がストミンA錠です。
耳鳴りに適応をとっている医薬品はストミンA錠のみになります。
ストミンA錠について薬局で患者さんから聞かれる内容をまとめました。
効能・効果(耳鳴り)
ストミンA錠の効能・効果です。
内耳及び中枢障害による耳鳴
耳鳴りに効能・効果をもつのはストミンA錠のみとなっています。
有効成分・作用機序
ストミンA錠には1錠中に
- パパベリン塩酸塩6mg
- ニコチン酸アミド30mg
が含有されています。
パパベリンが血管平滑筋の緊張を抑え内耳の血流量を増やします。
また騒音刺激により内耳電解質(カリウムイオン)が変動するのをニコチン酸アミドが予防する作用があります。
効果がでるまでの時間(Tmax)
薬を服用して血中濃度が最大になるまでの時間をTmax(ティーマックス)というのですが、ニコチン酸アミドのTmaxは20〜30分、パパベリン塩酸塩のTmaxは30分〜2時間となっています。
眠気の副作用はでる?
頻度は不明ですが、眠気の副作用がでる可能性があります。
妊娠中・授乳中の服用は?
製薬メーカーの説明書によると、妊婦・産婦・授乳婦への安全性は確立されていないとされています。
妊婦の場合、米国FDAの基準についてみてみたいと思います。
FDA基準の内容についてはこちらにまとめていますので割愛します。
ニコチン酸アミド
FDA基準【A】
ヒトでの妊娠3ヵ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後 の3ヵ月間の妊娠期間でも危険であるという証拠はない。
また妊婦の1日摂取許容量は15~17mgを超える場合は「C」とされています。(ストミンAは1錠あたり30mg 1日量180mg)
パパベリン
FDA基準【C】
ヒトや動物での試験が実施されていないため。
ストミンA錠は1日6錠で服用しますので、ニコチン酸アミドが180mgになります。
妊婦の1日摂取許容量は15~17mgとされていますので大幅にオーバーしてしまいます。
授乳中の場合も授乳婦のニコチン酸アミド1日許容量18〜20mgを大幅にオーバーしてしまいます。
前駆物質であるニコチン酸は、ヒト母乳中へ高く移行する。ニコチン酸アミド の母乳中への移行に関しては報告されていないが、ニコチン酸アミドも母乳中へ高く移行すると考えられる。授乳婦の米国で推奨されている1日摂取許容量は18~20mgである。
引用元 ストミンAインタビューフォーム
パパベリンについては母乳中への移行は不明ですが、ヒトでの問題は報告されていません。
市販薬のナリピタンとの違い
耳鳴りを改善する市販薬に「ナリピタン」が小林製薬から販売されています。
有効成分であるニコチン酸アミドは同じ量ですが、パパベリン量は市販のナリピタンの方が多く配合されています。
またナリピタンにはビタミンB1,2や耳鳴りに効果があるといわれる民間薬のアロエなどがプラスで配合されています。
成分名 | ストミンA | ナリピタン |
---|---|---|
ニコチン酸アミド | 180mg | 180mg |
パパベリン塩酸塩 | 36mg | 45mg |
カフェイン水和物 | 180mg | |
チアミン塩化物塩酸塩 (ビタミンB1) | 90mg | |
リボフラビン (ビタミンB2) | 9mg | |
クロルフェニラミン | 18mg | |
アロエ末 | 18mg | |
アミノ安息香酸エチル (麻酔作用) | 270mg |