レストレスレッグス症候群は手足(特に足)に不快な感覚が現れ、足を動かしたくなる欲求が生じることで寝つきが悪くなる、夜中に目が覚めるといった睡眠障害がおこり日常生活に支障をきたす病気です。
「そわそわした」「絶え間なく動く」といったrestless(レストレス)からRestless Legs Syndrome(RLS)と名付けられています。
また足がむずむずすることから「むずむず脚症候群」とも呼ばれます。
レストレッグス症候群の治療薬として用いられるのがパーキンソン病治療薬であるビ・シフロール錠(一般名:プラミペキソール)です。
ビ・シフロール錠がレストレスレッグス症候群に効くメカニズム(作用機序)や服用の注意点について解説していきます。
ビ・シフロール作用機序(むずむず脚症候群)
レストレスレッグス症候群は原因が明らかでない特発性、鉄欠乏性貧血や透析、リウマチ、パーキンソン病などが原因となる二次性に分類されます。
レストレスレッグス症候群の原因は明らかにはなっていませんが主に下記の3つの理由が挙げられます。
- 神経細胞の異常
神経伝達物質の「ドパミン」がうまく働かなくなることで症状が現れる - 鉄分不足
ドパミンの生成に関与する鉄分不足でドパミン不足となるため - 遺伝
このようにレストレスレッグス症候群は「ドパミン」が関与していると言われており、ドパミンやドパミン伝達を活性化させる薬を投与すると改善し、ドパミンの働きを抑える薬(ドパミン受容体拮抗薬)を投与すると悪化することがわかっています。
ビ・シフロール錠(一般名:プラミペキソール)はドパミン受容体刺激薬といってドパミンD2受容体を刺激しドパミン伝達を活性化させます。
D2受容体の中にもD2,3,4とあるのですがビ・シフロール錠はD3に選択性が高いのが特徴です。
D3受容体は感覚、認知機能に関係する中脳辺縁系や痛覚伝達に関与する脊髄にも発現していることから1)、D3受容体を介してレストレスレッグス症候群を改善すると考えられています。
1)ビ・シフロール錠インタビューフォーム
飲み方・就寝2〜3時間前に服用する理由
レストレスレッグス症候群の治療でビ・シフロール錠を服用する場合、通常、寝る2〜3時間前に服用します。
服用後、薬の血中濃度が最大になるまでの時間(tmax)が1.67時間(空腹時服用)のため、寝るタイミングに最も効かせるために寝る2〜3時間前に服用することとされています。
アルコール(お酒)の摂取
「会社の飲み会があるけどお酒は大丈夫?」
と薬局で質問を受けることがあります。
ビ・シフロール錠を服用中にお酒(アルコール)を摂取すると、機序は不明ですがビ・シフロールの作用が増強することがあります。
そのためアルコールとは併用注意となっています。
主な副作用
ビ・シフロール錠をレストレスレッグス症候群の治療に使った際の副作用のデータです。
悪心14例 (2.8%)傾眠9例 (1.8%)頭痛・浮動性めまい,下肢静止不能症候群がそれぞれ5例 (1.0%) 等(再審査終了時510例中)
ビ・シフロール錠を長期で服用して足のむずむずが現れる時間が2時間以上早まる場合や、症状が悪化したり範囲が広がる場合(オーグメンテーションといいます)は、主治医に相談するようにしましょう。