こんにちは。
現役薬剤師Yuです。
水虫になった時、市販薬で対応するか、皮膚科などの病院で抗真菌薬を処方してもらうかで対応しなければいけません。
最近では、切れ味の鋭い水虫専用の市販薬が数多く販売されていることから、病院を受診する暇がない方は市販薬で治療されるケースが多く見られます。
水虫治療の市販薬には100種類以上あるため、
「どの薬が自分の症状に合っているのか分からない・・・」
と悩まれるのではないでしょうか?
薬剤師や登録販売者に質問できればいいのですがレジや接客で忙しそうにされているとなかなか聞きづらいですよね?
水虫の症状に合わせてどんな薬を選べばいいのか?
入っている成分を見ただけで自分の判断で市販薬を選択できるように解説していきたいと思います。
症状別剤型の選び方(クリーム・液・スプレー)
まず、確認していただきたいのが、自分がどのような水虫にあてはまるかです。
水虫は白癬菌(読み方:はくせんきん)とよばれるカビの一種が原因でおこり、症状から下記の3つに分類されます。
- 趾間型(しかんがた)
- 小水疱型
- 角化型
趾間型(しかんがた)とは指と指の間に症状がでているケースです。
ジュクジュクしていたり、カサカサしていたり、皮がめくれるといった状態にあるかと思います。
小水疱型とは足の裏や、フチに水ぶくれができている状況です。
角化型とは白癬菌によってかかとが厚くて固くなった状態です。
水虫の治療薬は
- クリーム
- 軟膏
- 液体
- ドライパウダー
- スプレー
などの種類があるのですが水虫のタイプと状態によって、剤型を使い分けなければいけません。
水虫タイプ | 主な部位 症状 | 適した剤型 |
---|---|---|
趾間型 (読み方:しかんがた) | 指の間 ジュクジュク カサカサ 皮のめくれ | クリーム 軟膏 パウダースプレー 液(乾燥している場合) |
小水疱型 | 足の裏やふち 水泡 | クリーム 軟膏 液 スプレー |
角化型 | 足のかかと 固く厚い | クリーム |
趾間型の場合は患部かジュクジュクしているか、カサカサしているかで適した剤型が変わってきます。
ジュクジュクしていたり、水泡が破れている場合は刺激の少ないクリームや軟膏がよいでしょう。
ジュクジュクがひどくてしみる場合は、クリームより軟膏の方がより適しています。
また製品によってはジュクジュクした患部のためのパウダースプレーもあります。
カサカサしている場合は浸透しやすい液がいいです。
小水疱型では、水泡がつぶれていなく患部が広い場合はスプレータイプがオススメです。
水泡がつぶれている場合は、クリームや軟膏がよいでしょう。
かかとが固くなる角化症の場合はしっとりさせるクリームがよいでしょう。
このように水虫のタイプや、ジュクジュクかカサカサかによって液、クリーム、軟膏、スプレーを使い分ける必要があるのです。
抗真菌薬の主成分一覧・医療用医薬品・市販薬
水虫治療薬は抗真菌薬といわれ、水虫の原因となる真菌をやつける抗真菌薬がメインの有効成分となります。
抗真菌薬の市販薬は100種類以上が販売されていますが、抗真菌薬の成分だけでみると10種類もありません。
どの抗真菌薬も真菌の細胞膜の主要成分であるエルゴステロールの生合成を抑えることで、
水虫を改善します。
人間の細胞膜にエルゴステロールは存在しないことから、人の正常は皮膚を傷つけることはありません。
抗真菌薬の中での抗菌力に圧倒的は差はないことから、どの抗真菌剤を選んだとしても効果に大きな差はないと考えられます。
もし病院で処方されて効果があった経験がある場合は、同じ成分が入った市販薬を選択するとよいでしょう。(病院で処方される医療用医薬品の中でも市販薬が販売されていないケースもあり)
主に販売されている市販薬と真菌薬の成分、該当する医療用医薬品(病院で処方薬)は下記のとおりです。
抗真菌薬 | 主な市販薬 | 医療用医薬品 |
---|---|---|
テルビナフィン塩酸塩 | ラミシールAT | ラミシール |
ブテナフィン塩酸塩 | ブテナロック ラマストンMX2 スムジールVエース パルグラン ラティーノ | メンタックス ボレー |
ラノコナゾール | ピロエースZ | アスタット |
ビホナゾール | デシコートUN | マイコスポール |
アモルフィン | トークール | ペキロン |
クロトリマゾール | タムチンキパウダー ピロエースW | エンペシド |
ミコナゾール硝酸塩 | ダマリンL ラスピドン | フロリードD |
オキシコナゾール硝酸塩 | タムシチンキゴールド タムチンキP | オキナゾール |
痒みがあるか?炎症がひどいか?配合剤の選び方
病院で処方される医療用医薬品には抗真菌薬が単品でしか入っていません。
しかし、市販の水虫治療薬には痒み止めや抗炎症薬、殺菌成分が配合されているものがあります。
痒みがひどい場合は痒み止めが入っているもの、
赤みがあったり炎症を抑えたい場合は抗炎症成分が入ったものがいいでしょう。
「痒みがひどいか」
「赤みがひどいか」
といった自分の症状に合わせて選択するとよいでしょう。
パッケージに配合成分の記載がありますので配合剤の成分にどのような働きがあるのか、下記を参考にしてみてください。
配合成分 | 働き |
---|---|
クロタミトン | かゆみ止め |
ジフェンヒドラミン塩酸塩 | かゆみ止め |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | かゆみ止め |
dl-カンフル | かゆみ止め |
リドカイン | 麻酔作用 かゆみ止め 痛み止め |
ジブカイン塩酸塩 | 麻酔作用 かゆみ止め 痛み止め |
イソプロピルメチルフェノール | 殺菌成分 |
グリチルレチン酸 | 抗炎症作用 |
l-メントール | すっきり |
尿素 | しっとりさせる 角質を柔らかくする |
症状がなくなった後も最低1カ月は使用すること
水虫の治療は根気がいります。
見た目の症状がよくなったからといってすぐに薬を辞めてしまうと、水虫の再発確率が高くなってしまいます。
症状がなくなってからも最低でも1ヶ月は塗り続けることをオススメします。
正常な人間の皮膚は傷つけませんし、繰り返して長期間薬を塗り続けるよりも経済的負担は軽くなりますので、よくなった後も1ヶ月は薬を塗ってしっかりと退治することをオススメします。
爪水虫の市販薬はある?
爪に水虫のような症状があった場合は必ず受診をするようにしましょう。
メンソレータム エクシブ Wきわケアジェルといって市販でも爪のキワに使える水虫治療薬が販売されていますが、爪水虫に効能・効果のある市販薬は販売されていません。
いままでは飲み薬でしか爪水虫の治療はできませんでしたが、クレナフィン爪外用液やルコナック爪外用液といった塗り薬が開発されました。
自然に治癒することはなく、放っておくと悪化する一方でなく周りの方に感染させる原因となりますので、早めの治療をオススメします。