ドラッグストアで勤務している中で特に多い相談が虫刺され時の対応です。
「ムカデに刺されたけど市販薬で効きますか?」
「ハチに刺されたけどどうしたらいい?」
「海でクラゲに刺されて痛痒い・・」
虫刺されの時は自己判断で治療可能なケースと、病院に受診が必要なケースがあります。
蜂刺されの対応(市販薬・病院)
日本で人を刺す蜂といえば、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチが代表的です。
特にスズメバチとアシナガバチは強い毒性を持っています。
スズメバチは7月〜10月、アシナガバチは7月〜8月が最も危険といわれています。
蜂にさされて一番注意するべきことはアナフィラキシーショックです。
蜂刺されによるアナフィラキシーショックは病院へ
通常は1度以上、蜂に刺されたことがある方で蜂毒アレルギーを持ってしまった場合に
アナフィラキシー症状が現れる可能性があります。
アナフィラキシー症状は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)に接触したあとに数分から数十分以内に全身に現れる激しい急性のアレルギー症状のことをいいます。
自分で感じる自覚症状と、周りの人がみて判断できる他覚症状に分類できます。
自覚症状 | 他覚症状 | |
---|---|---|
全身 | 不安感 無力感 | 冷汗 |
循環器 | 動悸 胸が苦しくなる | 血圧低下 脈が弱くなる チアノーゼ |
呼吸器 | 喉が締め付けられる 鼻がつまる | くしゃみ 咳発作 呼吸困難 |
消化器 | 吐き気・腹痛 | 嘔吐 下痢 尿失禁 |
粘膜・皮膚 | 皮膚痒み | じんましん 口の腫れ まぶたの腫れ 皮膚が白or赤くなる |
神経症状 | くちびるのしびれ 手足のしびれ めまい 耳鳴り | けいれん 意識障害 |
30分以内にこのような症状があればすぐに救急車を呼びましょう。
また上記のような全身症状が見られない場合は、
市販薬で対応するか、病院に受診するかになります。
たとえ症状が軽くても確実に治療するために医療機関を受診することを僕は指導しています。
医療機関を受診する場合、子供は小児科、大人は皮膚科になります。
蜂に刺された場合の応急処置
ハチに刺された場合の応急処置です。
- 蜂のいる場所から離れる
- 出来るだけ早く針を抜く
ピンセットや毛抜きがベター・指は使わない - 患部の毒を吸い出し患部を水で洗い流す
- 薬の塗布(市販薬or病院の処方薬)
- アナフィラキシー症状があれば救急車を呼ぶ
- 日陰で安静にする
皮膚に刺さった針を指で取り除こうとすると、毒が皮膚の中に入ってしまうことがあります。
そのため指は使わず、毛抜きやピンセットで対応するのがベストです。
外出先で毛抜きやピンセットがない場合、カード状のもの(診察券や免許証など)で針を払ってとる方法もあります。
蜂刺されの治療薬はステロイド・抗ヒスタミン薬
蜂に刺されて赤みがある場合はステロイドと抗ヒスタミン薬の入った塗り薬を選ぶことをオススメします。
市販薬でいえば下記の商品が該当します。
()はステロイドの強さ
- ムヒアルファEX(やや強い)
- 液体ムヒアルファEX(やや強い)
- ウナコーワエースG(やや強い)
- ウナコーワエースL(やや強い)
- ムヒアルファSⅡ(優しい)
- 液体ムヒS2a(優しい)
- ウナコーワα(優しい)
これらの塗り薬にはステロイドに加えて抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンが入っているため痒みを赤みを抑えることができます。
できる限り市販薬で応急処置をしたあとに医療機関を受診することを推奨します。
受診できない場合でも、市販の塗り薬を使って赤みが広がる場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
ハチ刺されにアンモニア(キンカン)は効く?
おばあちゃんやおじいちゃんから、
「ハチに刺されたらおしっこをかけなさい」
と言われて育った世代ですが、実はアンモニアに効果があるのはアリの毒素だけです。
アンモニアが主成分のキンカンもハチ刺されには効果はありませんので、使用は控えるようにしましょう。
ハチ刺されの予防方法
一番はハチに刺されないように予防することです。
お出かけや、日常生活での注意点をピックアップします。
- ハチの巣に近づかない
- 黒い服や帽子を避ける
- 香水やヘアトニックはつけない
- 自動車の窓の開けっ放しに注意
- 洗濯物や布団の取り込み時に注意
毛虫に刺された場合の対応・市販薬
毛虫はチョウやガの幼虫です。
すべての毛虫が毒を持っているわけでなく、毒を持った毛虫に触れたときに赤みや痛み、痒みが生じます。
毒針毛と毒棘の違い
毒を持つ毛は毒針毛(どくしんもう)と毒棘(どくきょく)の2種類があります。
毒針毛(どくしんもう)は抜けやすく、皮膚についたり、風で衣類に付着したものを触ることで皮膚に刺さり針の中の毒が皮膚に入るケースがあります。
毒針毛を持つものはドクガ類(ドクガ、チャドクガ)の幼虫となります。
毒棘(どくきょく)は抜けにくく、皮膚が触れることで毒液が皮膚内に注入されます。
毒棘を持つものはイラガ科、マダラガ科の幼虫にとなります。
毛虫皮膚炎の治療(市販薬・病院)
針が抜ける毒針毛が皮膚に刺さった場合は、まずは針を取り除きます。
直接手に触れてはいけないので、ガムテープなど大きめのテープで毛を取り除きます。
そして患部を水でよく洗い流しましょう。
衣類にも毛が付着している可能性がありますのでガムテープなどで毛を取り除き、
他の衣類と別に洗濯しましょう。
毛虫による皮膚炎を市販薬で対応する場合はステロイドと抗ヒスタミン薬の入った塗り薬を選ぶことをオススメします。
市販薬でいえば下記の商品が該当します。
()はステロイドの強さ
- ムヒアルファEX(やや強い)
- 液体ムヒアルファEX(やや強い)
- ウナコーワエースG(やや強い)
- ウナコーワエースL(やや強い)
これらの塗り薬にはステロイドに加えて抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンが入っているため赤みや痒みを抑えることができます。
毒針毛を持つ毛虫に刺された場合は炎症が長引くことがありますので、
確実に早く治したい場合は医療機関を受診することをオススメします。
ムカデに刺された場合(市販薬・病院)
ムカデの毒は強力のため激しい痛みと腫れがひどく現れます。
ムカデに刺された(咬まれた)場合は、基本的には病院(大人は皮膚科、子供は小児科)を受診します。
家にステロイドと抗ヒスタミン薬入りの塗り薬があれば、塗って応急処置をしたうえで受診をすることをオススメします。
市販薬の中でもステロイドの作用が強く、かつ抗ヒスタミン薬が入った下記のものがよいでしょう。
- ムヒアルファEX
- 液体ムヒアルファEX
- ウナコーワエースG
- ウナコーワエースL
クラゲに刺された場合(市販薬)
海でクラゲの触手にある刺胞(毒を持つ部分)に付着すると、赤いブツブツやミミズ腫れ、水ぶくれが生じます。
手袋やタオルなどで触手を取り除き、海水で洗浄します。
真水で洗浄すると触手が刺激されて毒を出しますので、必ず海水で洗浄します。
症状が広範囲になっている場合や、頭痛、悪心、呼吸困難などの全身症状がある場合は直ちに医療機関を受診しましょう。
市販薬としてはステロイドと抗ヒスタミン薬が配合されたものを選ぶとよいでしょう。
市販の塗り薬では下記の商品が該当します。
()はステロイドの強さ
- ムヒアルファEX(やや強い)
- 液体ムヒアルファEX(やや強い)
- ウナコーワエースG(やや強い)
- ウナコーワエースL(やや強い)
クラゲは種類も多く、クラゲの種類によって応急処置方法や治療期間に差がでてきます。
例えば沖縄に多く生息するハブクラゲは患部にお酢をかけてて対応し、毒性が強く跡が残りやすいといった特徴があります。
そのためクラゲに刺された場合は、応急処置で市販薬を塗った後に一度医療機関を受診することを薬局では指導しています。