中耳炎やマイコプラズマ肺炎、溶連菌など難治性のものに対して処方されるのがオラペネム小児用細粒10%(成分名:テビペネム ピボキシル)です。
効き目が鋭いため、最初から処方されることはほとんどないお薬です。
薬局では
「オラペネムの飲ませ方を教えてほしい」
「何に混ぜるといいの?」
「下痢をしてしまったけどどうすればいい?」
といった質問を受けることがあります。
患者さんからよく聞かれる質問を中心にオラペネム小児用細粒についてまとめてみました。
オラペネムの味
オラペネム細粒には甘いイチゴ味でコーティングされています。
ガリガリ噛んだり、すり潰したりすると苦味が出てきます。
混ぜるといいもの・飲ませ方
飲みにくい場合は、冷たい牛乳、ヨーグルトやプリン、アイスクリームに混ぜるのをオススメします。
リンゴジュースやオレンジジュース、ポカリスエットやアクエリアスなどのスポーツ飲料に混ぜると苦味が増し、薬の効き目自体も弱くなることが報告されています。
酸性の飲料水には混ぜないように注意しましょう。
小さいお子さんへの飲ませ方は詳しくはこちらにも記載しています。
食事が取れない場合
オラペネムは食後に服用させるお薬ですが、「食欲がない」「なかなか食べてくれないけど、飲ませていい?」といった相談を受けることがあります。
食後に飲めない場合にどうすればいいのでしょうか?
空腹時にオラペネムを服用すると吸収が上がりすぎることが報告されていますが、プリンやアイスクリームなどと一緒に服用すれば食後に服用した時と同じくらいの吸収量になるというデータがでています。
オラペネムを飲ませる場合、少しでも何か食べさせるか、どうしても食べれない場合はプリンやアイスクリームに混ぜて飲ませるのがよいでしょう。
副作用
最も多い副作用は下痢・軟便(無形軟便、泥状便、水様便)です。
まれに発疹が出ることもありますので、発疹が出た場合は、医療機関や薬局で伝えるようにしましょう。
また3歳未満の場合特に下痢・軟便の副作用の確率が高くなります。販売メーカーの実験データでは、下痢・軟便の発生確率が3歳未満34.6%、3歳以上で13.0%であると報告されております。
3人に1人は下痢・軟便になるのはかなり高い確率ですね。
下痢をした時
非常に高い確率で下痢や軟便の副作用がでますが、水の様な下痢になった場合は服用を中止し、主治医か薬剤師に相談してください。
また服用を中止して3日後までには回復することが報告されていますので、安心してくださいね。
効能・効果・作用機序・用法・用量
より詳しく知りたい方へ、オラペネムの適応する菌や適応症、注意点など記載したいと思います。
オラペネムの適応菌・適応症
適応菌種
テビペネムに感性の黄色ブドウ球菌、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌
適応症
肺炎、中耳炎、副鼻腔炎
どのように効くのか(作用機序)
オラペネムはカルバペネム系抗生物質に分類され細菌にある細胞壁が作られるのを阻害することで抗菌効果を発揮します。特に肺炎球菌やインフルエンザ菌(中耳炎などの原因菌)に対して特に作用します。また耐性菌に対しても強い抗菌力があります。
用法・用量
小児にはテビペネムピボキシルとして1回4mg(力価)/kgを1日2回食後に経口投与する。 なお、必要に応じて1回6mg(力価)/kgまで増量できる。
※オラペネム小児用細粒10%には1g中にテビペネムピボキシルが100mg含まれています。
7日間以内に抑える
製薬メーカーの説明書には
投与期間は、7日間以内を目安とすること。なお、使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
引用元 オラペネムインタビューフォーム
という注意書きがあります。
抗生剤でこのような日数の指定があるのはとても珍しく、長期の連用は特に避けなければいけない薬です。
デパケン(バルプロ酸ナトリウム)は併用禁忌
抗てんかんのバルプロ酸ナトリウムを併用している場合、バルプロ酸ナトリウム吸収が低下し、てんかん発作が誘発されることがあります。
商品名でいうと、デパケン、バレリン、セレニカが該当します。
これらは併用禁忌といって絶対に一緒に服用できない薬になっています。
薬剤師が併用をチェックしてくれる場合は、オラペネムが処方変更になると思いますが、もしオラペネムが処方された場合は、医療機関に抗てんかん薬を服用していることを再度伝えるようにしましょう。