気管支喘息の時や、風邪で咳がひどい時に処方されるのがホクナリンテープです。
最近ではセキナリンテープやツロブテロールテープなどのジェネリック医薬品で処方される機会も増えてきました。
これらのテープについて、薬局でよく聞かれる質問をもとに、薬剤師目線でまとめてみました。
ホクナリンテープが処方された方の疑問や不安が少しでも解消できると幸いです。
成分・効果
ホクナリンテープには有効成分である「ツロブテロール」という成分が入っており、ツロブテロールが気管支を拡張させ息を楽にします。
同じホクナリンでも色が違うのはなぜ
ホクナリンテープには年齢や体重に合わせて、0.5mg、1mg、2mgと販売されており、それぞれ色が異なります。またマイランEPDさんと、マルホさんの2つのメーカーさんからホクナリンテープが販売されており、同じmgでもメーカーによって色に違いがあります。
赤ちゃん・子供・大人の用量・体重は関係ある?
ホクナリンテープは体重別でなく年齢によって量が調整されます。
年齢 | 用量 |
---|---|
0.5〜3歳未満 | 0.5mgを1枚 |
3〜9歳未満 | 1mgを1枚 |
9歳以上 | 2mgを1枚 |
切り方
ホクナリンテープは時々切って使用するように指示されることがあります。
例えば、
・ホクナリンテープを0.5mgで処方したい時、薬局で1mgの規格しかない場合1mgを0.5枚で処方されるケース
・副作用による動悸や震えがあった際に量を半分に調整するケース
などです。
対角線で切ると端が鋭角になり剥がれやすくなりますので、縦か横で半分の面積になるように切るようにしましょう。
貼る場所(胸・背中・腕のどこがいい?)
成人にはツロブテロールとして2㎎、0.5~3歳未満には0.5㎎、3~9歳未満には1㎎、9歳以上には2㎎を1日1回、胸部、背部又は上腕部のいずれかに貼付するとなっています。
メーカーのデータによると、貼り付け24時間後の薬の体内の濃度は、胸部に貼った場合86.1±2.3%、背部に貼った場合87.2±2.2%、上腕部に貼った場合87.9±1.1%となっており、胸、背中、上腕部どこに貼っても大差はないとされています。
効果発現時間・持続時間
薬を投与して血中濃度が最大になるまでの時間をTmax(ティーマックス)、その後血中濃度が半分ずつ分解される時間をT1/2(ティーハーフ)または半減期といいます。
健康成人男性にホクナリンテープ2mgを24時間貼った時のTmax、T1/2です。
Tmax | T1/2 |
---|---|
11.8hr | 5.9hr |
貼った後、約12時間で効果が最大となり、約6時間ごとに半分に分解されていきます。
子供の場合はTmaxが約14時間となり少し効き目が遅くなります。
即効性はありませんが、24時間効果が持続するのが特長です。
いつ貼るのがいい?(タイミング)
僕が現場で指導しているのは、お風呂上り、寝る前です。より剥がれにくくするためにも、お風呂から上がった直後でなく、少し皮膚が冷めてから貼るのがオススメです。
24時間効果がありますので、特に痒くならないようなら一日貼って、次の入浴後に貼りかえます。
お風呂・プールは入っていい?
ホクナリンテープは貼ったまま入浴やプールに入るのは可能です。
しかし、剥がれやすくなりますので、上から絆創膏やテープなどを貼って入ることをオススメします。
剥がれた時の対処法
薬局では「剥がれてしまったらもう一回貼ってもいい?」という質問を多く受けます。
ホクナリンテープは貼り付け12時間後で85%近く吸収されますので、入浴後貼って、朝剥がれていた場合や、半日以上経って剥がれた場合は、貼り直さなくても薬は十分に効いていると考えられます。
市販薬では売ってる?
ホクナリンテープの市販薬は販売されていません。
必ず医療機関で処方してもらいましょう。
妊娠・授乳中の使用
妊婦さんの場合、「有益性が危険性を上回る場合にOK」となっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には, 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること. 〔妊娠中の使用に関する安全性は確立していない.〕
引用元 ホクナリンテープ インタビューフォーム
使用できない「禁忌」ではないため、妊婦さんにも処方されるケースはあります。
また授乳中の場合、
製薬メーカーの説明書では「授乳を避けること」となっています。
一方、大分県の小児科医会、産婦人科医会、薬剤師会で編成される研究チームによると
ヒトでの情報なし。乳児(生後半年から)に適応を持ち、通常量であれば授乳との両立は可能。
と位置付けられています。
Drによっては「授乳してもOK」と説明されるケースもあります。
ホクナリンテープについて薬局で相談を受ける内容をまとめました。
最近ではツロブテロールテープというジェネリック医薬品の使用が増えてきていますが、使用方法や注意点はホクナリンテープと同じです。
何か不明点がありましたら下記の質問ボックスよりコメントいただけると幸いです。