メラトニン受容体作動薬とよばれる薬がロゼレム錠(一般名:ラメルテオン)です。
ロゼレムについて作用機序や特徴をまとめました。
効能・効果は「不眠症における入眠困難の改善」
不眠症は大きく下記の4つに分類されます。
- 入眠障害
- 中途覚醒
- 早朝覚醒
- 熟眠障害
ロゼレム(ラメルテオン)は作用時間が短いことから「不眠症における入眠困難の改善」に効能・効果をとった睡眠薬になります。
不眠症の分類についてはこちらに詳しく書いています。
不眠症のタイプと睡眠薬の使い分け
ロゼレム作用機序・体内時計に作用
ロゼレム(ラメルテオン)は人間が本来持っている体内時計に作用することで「脳と体を寝付きやすい状態」に近づけ、自然に近い眠りへ導きます。
「脳に作用して無理やり眠くさせる」従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬とは作用機序がまったく違います。
具体的なメカニズムについて説明していきます。
人間は朝起きて、夜になったら眠たくなりますよね?
夜になったら眠たくなるのには「メラトニン」という物質が関与しています。
人間は朝に太陽を浴びて14〜16時間後くらいに脳の松果体と呼ばれるところから「メラトニン」が分泌されます。
メラトニンが脳の視交叉上核にあるメラトニン受容体にくっつくことで「眠気」を感じるようになります。
メラトニン受容体にはMT1,MT2,MT3の3つがあるのですが、
睡眠に関与しているのは「MT1」と「MT2」です。
ロゼレムは
- メラトニン受容体1型(MT1受容体)
- メラトニン受容体2型(MT2受容体)
を選択的に作動させるため、人工的にメラトニンと同じような働きをさせるのです。
このような作用機序からロゼレムはメラトニン受容体作動薬と呼ばれています。
効果発現時間・持続時間(Tmax・T1/2半減期)
薬を服用して血中濃度が最大に達する時間をTmax(読み方:てぃーまっくす)、血中濃度が最大に達した後に薬の濃度が半分ずつ分解されていく時間を半減期またはT1/2(読み方:てぃーはーふ)といいます。
ロゼレム(ラメルテオン)8mgを健康成人男性が一回服用した時のTmaxは0.75時間(約45分)、半減期は0.94時間(56分)となっています。
ロゼレム(ラメルテオン)は服用後45分で最大血中濃度に達し、その後約1時間ごとに薬の濃度が半分ずつに分解されていきます。
飲み方・食直後は避ける
ロゼレムは寝る前に服用することとされています。
食後に服用すると空腹時に比べて血中濃度が低下するため食直後の服用は避けなければいけません。
フルボキサミンと禁忌(デプロメール・ルボックス)
ロゼレム(ラメルテオン)と抗うつ薬であるフルボキサミンマレイン酸塩(商品名:ルボックス・デプロメール)とは一緒に服用できない「併用禁忌」となっています。
ルボックス・デプロメールはCYP1A2という代謝酵素で分解されていくのですが、ロゼレム(ラメルテオン)はCYP1A2を強く阻害する作用があるためルボックス・デプロメールが分解されず血中濃度が高くなりすぎてしまうためです。
ロゼレムとお酒・アルコールと併用注意
「お酒を飲んでも大丈夫?」
薬局でも時々きかれる質問ですが、ロゼレム(ラメルテオン)を服用中にお酒(アルコール)を併用すると注意力・集中力・反射運動能力等の低下が増強されることから「併用注意」となっています。
そのためお酒の摂取は極力控えた方がよいでしょう。
ロゼレム服用後は部屋を暗くする・スマホやテレビは見ない
ロゼレムを服用しても、スマートフォンやテレビを見たり、部屋が明るいと体内からの「メラトニン」の分泌が減ってしまいます。
せっかくなら効果的に服用したいですよね?
ロゼレムを服用後は部屋の照明を暗くし、テレビやスマートフォン、パソコンなど明るいものは見ないようにしましょう。
ロゼレムの特徴・ベンゾジアゼピン系睡眠薬との違い
最後にロゼレムの特徴やベンゾジアゼピン系睡眠薬との違いをピックアップします。
- 自然に近い眠りに近づける
- 鎮静作用や抗不安作用はない
- 退薬症候・離脱症状がない
- 安全性が高い
- ベンゾジアゼピン系に比べて睡眠作用は弱い
- ベンゾジアゼピン系に比べて副作用は少ない
- 即効性は低い