気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)による気道の閉塞を広げる目的で処方される吸入薬がスピリーバ2.5μgレスピマット(成分名:チオトロピウム)です。
スピリーバは「長時間作用性抗コリン薬」または「LAMA(読み方:ラマ)」とも呼ばれ、24時間持続するのが特徴です。
今まではカプセルタイプが主流でしたが、噴霧タイプのレスピマッド製剤が開発されてからはレスピマッドが多く使われるようになっています。
スピリーバレスピマッドについて、患者さんから薬局で聞かれる質問をまとめました。
作用機序
「交感神経」と「副交感神経」
皆さんもよく耳にする言葉ではないでしょうか?
スピリーバ(チオトロピウム)は副交感神経の働きを抑えることで気管支を拡張させます。
交感神経が活発になると「気管支は拡張」し、副交感神経が優位になると「気管支は収縮」します。
喘息は夜や早朝にでやすい理由は、夜寝ている時は副交感神経が優位になっているため気道が収縮しやすいからです。
ここからは少し専門的な話になりますが、副交感神経の神経伝達物質として「アセチルコリン」があります。
アセチルコリンが気道平滑筋にあるムスカリンM受容体に結合すると気管支が収縮します。
ムスカリン受容体にはM1〜M5までの種類(サブタイプ)が存在し、気管支収縮に関与するのがM1〜M3といわれています。
スピリーバはムスカリン受容体M1〜M5に結合することで、アセチルコリンが結合するのを邪魔します。
スピリーバは特に気管支収縮に強く関与するムスカリンM3受容体に対して長く作用しますので、長時間気管支の収縮を抑えることができるのです。
使い方(吸入方法)
スピリーバレスピマットの吸入方法について説明します。
- キャップを閉じた状態で、下側の透明ケースを右に180度カチッと音がするまで回す
- キャップを開ける
- 息を吐く
- 吸入口を加えてゆっくり息を吸いながら噴霧ボタンを押す
- そのままできるだけ肺いっぱいに息を吸い込む
- 苦しくない程度に息をとめる
通常は1回2吸入しますので1〜6をもう一度繰り返します。
吸入後うがいは必要?
スピリーバはステロイド薬でないため吸入後のうがいは特に必要ないと考えられます。
しかし薬剤師によっては口の中に薬が残るのを避けるためにすべての吸入薬でうがいをするように指導されるケースもあります。
ステロイドの吸入薬を併用する場合は、口腔カンジダの原因となりますので、吸入後は必ずうがいをしなければいけません。
うがいをする時は口の中を「クチュクチュ」、のどを「ガラガラ」10秒2回ずつ行えば十分と考えられます。
主治医や薬剤師からの指示に従うようにしてください。
口が乾くのは副作用?
スピリーバで最も高い確率で現れる副作用は口渇です。
スピリーバは副交感神経の働きを抑える作用、つまり交感神経を優位にさせる作用があります。
緊張すると口が乾きますよね?
口乾は避けられない副作用ですので、シュガーレスの飴やガムを摂って唾液分泌を促しカバーするのも一つの方法です。
廃棄方法は?家庭ゴミで出せる?
スピリーバは金属・プラスチックできていますので、各自治体の決められた方法で廃棄するようにしてください。
使用期限は?
カートリッジが刺さった状態の場合、3ヶ月を経過したものは廃棄しなければいけません。
薬が残っていても捨てるようにしましょう。
また7日間以上使用しなかった場合は空噴霧を1回、21日間以上使用しなかった場合は空噴霧を3回してから使用しましょう。