便秘型過敏性腸症候群の治療薬がリンゼス錠(一般名:リナクロチド)です。
2016年12月に製造販売承認を受け、2017年3月に発売となりました。
リンゼス錠の作用機序や特徴についてまとめました。
便秘型過敏性腸症候群とは?便秘型IBSとは?
過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)は
「腹痛あるいは腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する状態」
のことをいい、便秘が優位な場合を「便秘型IBS」に分類されます。
下痢が優位の場合は「下痢型IBS」とされイリボー錠という治療薬が下痢型IBSに処方されています。
IBSは現時点で4つのタイプに分類されます。
- 便秘型 IBS(IBS-C)
- 下痢型 IBS(IBS-D)
- 混合型 IBS(IBS-M)
- 分類不能型 IBS(IBS-U)
作用機序(メカニズム)
リンゼス(リナクロチド)は腸管分泌や腸管輸送能を促進させ便秘型のIBSを改善します。
少し専門的な話になりますが具体的なメカニズムを説明します。
腸管の表面には「グアニル酸シクラーゼ C(GC-C)受容体」とよばれる場所があります。
GC-C受容体が刺激されると腸管分泌や腸管の輸送能が促進されます。
リンゼス(リナクロチド)はGC-C受容体を刺激する作用があるため、排便異常を改善できるのです。
またリンゼス(リナクロチド)には大腸痛覚過敏を抑制する作用もあり腹痛や腹部不快感も改善します。
リンゼス(リナクロチド)は血液中にほとんど吸収されず、腸管内で作用した後に天然アミノ酸まで代謝され体内で再利用されます。
飲み方(用法・用量)
通常、成人にはリナクロチドとして0.5mgを1日1回、食前(食事の20〜30分前)に服用します。
なお、症状により0.25mgに減量することがあります。
下痢の副作用が高い確率で現れる
リンゼス(リナクロチド)の最も高い頻度で現れる副作用が「下痢」です。
腸の水分分泌を増やし、排出能を高めるのですから当然の副作用でありますね。
下痢がひどく日常生活に支障がでるようであれば減量や処方変更となるケースもあると考えますので、我慢せず主治医に伝えるようにしましょう。
効果発現時間
製薬メーカーの試験によると服用後1日目から7割近くの方で効果がみられるとのことです。