気管支喘息や小児喘息などの発作時に処方される吸入薬がサルタノールインヘラーです。

サルタノールインヘラーについて作用機序や使い方についてまとめました。

有効成分・SABA(読み方:サバ)とは?

サルタノールインヘラーの有効成分は1回の吸入あたりサルブタモールを100μg含有しています。

サルブタモールは短時間作用型β2刺激薬(Short Acting β2 Agonist=SABA)と呼ばれます。

作用機序(メカニズム)

サルタノール(サルブタモール)は気管支喘息や気管支炎による発作で狭くなった気道を広げ呼吸を楽にする働きがあります。

気管支の平滑筋にはアドレナリンβ2受容体という部分があるのですが、β2受容体が刺激されると気管支平滑筋が弛緩し気道が広がります。

サルタノール(サルブタモール)は気管支平滑筋のアドレナリンβ2受容体を刺激することで気管支を広げ、呼吸を楽にし、咳をおさえます。

1本で何吸入分あるの?

サルタノールインヘラーは1缶の噴霧回数が約200回となっています。

使い方・1日の使用回数・間隔

通常、発作時に成人は2吸入、小児は1吸入使用します。
1日の使用回数は原則として4回(成人8吸入、小児4吸入)となっており、1回の吸入で3時間以上は効果が持続するためその間は吸入を行わないこととされています。

発作の予防として使っていい?

サルタノールインヘラーは発作時のみに使用する薬です。
短時間作用のため発作の予防には適していません。

吸入方法

  1. よく振る(ボンベの中の薬が均一になるようにします)
  2. 無理をしない程度に息を吐きます
  3. 吸入
    吸入方法は「オープンマウス法」と「クローズドマウス法」の2つの方法があります。

    オープンマウス法
    吸入口をくわえず口から4cm離して(指2本分くらい)吸入

    クローズドマウス法
    唇か歯で軽く加えて吸入

  4. 噴霧後は吸入器を口から外し3〜4秒息をとめた後、静かに息を吐く

 

うがいは必要?

サルタノールインヘラーはステロイド薬ではありませんので吸入後のうがいの必要はありません。

しかし薬剤師によっては口の中に薬が残るのを避けるためにすべての吸入薬でうがいをするように指導されるケースもあります。

うがいをする時は口の中を「クチュクチュ」、のどを「ガラガラ」10秒2回ずつ行えば十分と考えられます。

うがいについては主治医や薬剤師からの指示に従うようにしてください。

手入れ方法

少なくとも週に1回以上、ボンベを外し、アダプター(プラスチックの容器)を水かぬるま湯で洗い、乾燥させてください。

ボンベは絶対に濡らさず、外して洗うようにしてください。

妊娠・授乳中の使用

妊婦さんには「治療上の有益性が危険性を上回る場合にOK」となっています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている)

引用元 サルタノールインヘラー 添付文書

動物実験での奇形の報告は通常の治療の数千倍量を皮下注射した場合で、通常の治療での悪影響は報告されていません。

また授乳中については添付文書に注意書きはありませんが、血中に移行する量が少ないことから「授乳を続けてOK」と指導されるケースがあります。