2016年12月にヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質の泡タイプ、ヘパリン類似物質外用泡状スプレーが発売されました。
日東メディック、日本臓器製薬、ポーラファルマの3メーカーが存在します。
全てジェネリック医薬品扱いとなります。
- ヘパリン類似物質外用泡状スプレー「ニットー」
- ヘパリン類似物質外用泡状スプレー「日本臓器」
- ヘパリン類似物質外用泡状スプレー「PP」
3メーカーとも作られている工場が同じで、中身は全て同じものとなります。
泡状スプレーには添加物に「ヒアルロン酸」が配合されています。
そのため保湿目的で処方されるケースが多いのが現状です。
一部のサイトでは化粧品のように紹介されていますが、あくまで医薬品で副作用もありますので、
医師の指示のもと適正に使用しなければいけません。
ヘパリン類似物質外用泡状スプレーがどのような薬剤なのか解説していきたいと思います。
効能・効果
ヘパリン類似物質外用泡状スプレーの効能・効果です。
下記の疾患の場合に処方されることがあります。
血栓性静脈炎(痔核を含む)
血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)
凍瘡
肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防
進行性指掌角皮症
皮脂欠乏症
外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎
筋性斜頸(乳児期)
ヒルドイドソフト軟膏やローションと同じ効能・効果となっています。
保湿作用があることから、化粧品のようにインターネットなどで紹介されることが多いですが、あくまで医薬品です。
副作用が少なからずあることから、通常は医師が必要と判断した場合にのみしか処方されません。
保険財源も厳しいことから、保険を通して処方できないこともありますので、病院で処方をお願いするのは避けるようにしましょう。
ヘパリン類似物質外用泡スプレー作用機序
ヘパリン類似物質は主に下記の5つの作用があります。
- 角質水分保持増強作用
- 血液凝固抑制作用
- 血腫消退促進作用
- 血流量増加作用
- 線維芽細胞増殖抑制作用
保湿作用機序(角質水分保持増強)
ヘパリン類似物質は水分を引き寄せる作用があります。
それはヘパリン類似物質の構造式に秘訣があります。
ヘパリン類似物質の構造式には硫酸基、カルボキシル基、水酸基といった親水基(水とくっつきやすい構造)があり、水分子を引き寄せる働きがあるのです。
ヘパリン類似物質が水分を引き寄せ、基材が皮膚を覆うことで高い保湿効果を発揮します。
血液凝固抑制作用・血流増加作用
ヘパリン類似物質には血流を良くしたり、血が固まるのを防ぐ作用もあります。
線維芽細胞増殖抑制作用
肥厚性瘢痕(読み方:ひこうせいはんこん)・ケロイドでは皮膚に傷ができた後に、綺麗に治らず、皮膚が盛り上がりデコボコした症状が残ります。
肥厚性瘢痕・ケロイドの原因ですが、傷が修復される過程でコラーゲンが異常に増えるためと考えられています。
コラーゲンを作り出すのが線維芽細胞なのですが、ヘパリン類似物質は線維芽細胞の増殖を抑える作用もあります。
スプレー・ローションとの違い
泡状スプレーは、ヒルドイドローション(ヘパリン類似物質ローション)や、ヘパリン類似物質外用スプレーの有効成分であるヘパリン類似物質が同じ濃度の0.3%(1g中3mg)含有されています。
効能・効果にも違いはありません。
使い分けとしては、広範囲で使用するならローションやスプレーが、塗る部位が狭い場合は泡状スプレーが塗りやすいかと考えられます。
泡状スプレーには基材の中にヒアルロン酸ナトリウムが含まれていることから、保湿力を求めるなら泡状スプレー、さっぱりと塗り広げたいならローションかスプレーとなるでしょう。
泡スプレーは振らないこと
ヘパリン類似物質外用泡状スプレーの容器を振ると、泡がスプレーされにくくなりますので、
振らずに使用しましょう。
顔への使用は?
処方元の医師から「皮脂欠乏症」や「ケロイドの治療」などで顔に塗布するように指示があった場合は使用が可能です。
自己判断で顔への使用は避けるようにしましょう。