熱が高い時や、頭痛、歯の痛みなどに処方される解熱鎮痛剤がボルタレン錠(成分名:ジクロフェナクナトリウム)です。
ボルタレンは薬価の安いジェネリック医薬品もあり、
ジクロフェナクNa錠25mg+メーカー名
の名前でトーワ薬品やサワイ製薬、ツルハラなどから販売されています。
ボルタレンは解熱鎮痛剤の中でも効果が鋭いのが特徴です。
患者さんからよく相談される「授乳とボルタレンの影響」についてまとめてみたいと思います。
授乳中のボルタレンの使用
「授乳中だけどボルタレン服用してもいい?」
患者さんからよく聞かれる質問なのですが、製薬メーカーの説明書ではボルタレンを服用中は「授乳を避けること」となっています。
本剤投与中は授乳を避けさせること。〔母乳中へ移行することが報告されている。〕
引用元 ボルタレンインタビューフォーム
日本の場合、少しでも薬が母乳に移行すると「授乳を避けること」となっていますが、実際は母乳に移行する薬の量はごくわずかで、赤ちゃんに影響がでないことが多くあります。
ボルタレンも海外の基準では授乳中の服用に関して「比較的安全」と位置づけられています。
L2 概ね適合(比較的安全):probably compatible
少数例の研究に限られるが、乳児への有害報告なし。リスクの可能性がある根拠はほとんどない。
そのため、ボルタレンを処方される際「授乳を中止しなくてもOK」と指示されることも多くあります。
間隔はどれくらい空けたら授乳していい?
ボルタレンを処方された際、主治医から「授乳を中止しなくてもいいですよ」と指導された場合、どのタイミングで授乳をさせたらよいのでしょうか?
ボルタレンの服用と授乳の間隔について説明したいと思います。
ボルタレンは服用後、約2.7時間で薬の血中濃度が最大になります。
そして1.2時間間隔で薬の濃度が半分に分解されていきます。
ボルタレンの持続時間は4~6時間程度で、9時間ほど経てば、ほぼ体から消失されます。
ボルタレンを1日3回服用する場合は、ボルタレンを服用する直前に授乳させるのがよいと考えられます。
市販薬(OTC)では売ってる?
2017年現在、ボルタレン錠の市販薬は販売されておりません。
授乳中により安全な解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンとなっています。
商品名でいうとタイレノールが該当します。
特に授乳中の場合は、薬剤師のいるドラッグストアで相談するようにしましょう。
ボルタレンテープ・ゲルと授乳の影響
ボルタレンには湿布タイプや塗るタイプのものがあります。
どちらも皮膚から体内に吸収されますが、内服薬に比べると、吸収される量はわずかのため、授乳に関する注意書きは設定されていません。
そのため、特に授乳を中止することなくボルタレンテープやボルタレンゲルを使用できると考えられますが、授乳中は特に必要最低限にとどめておきましょう。