解熱鎮痛を目的として処方される薬がイブプロフェンです。
イブプロフェンについて薬局でよく聞かれる質問が
「妊娠中だけど服用できる?」
「授乳中だけど授乳は中止したらいいですか?」
といった妊娠・授乳中に関することです。
妊娠・授乳中のイブプロフェンの服用について解説していきます。
イブプロフェン製剤の一覧
イブプロフェン製剤は錠剤と顆粒が存在します。
ブルフェン錠100mg・200mg・顆粒20%(先発品)
イブプロフェン錠100mg・200mg「タイヨー」(ジェネリック医薬品)
イブプロフェン錠100mg・200mg・顆粒20%「タツミ」(ジェネリック医薬品)
イブプロフェン顆粒20%「ツルハラ」(ジェネリック医薬品)
先発品はブルフェンで科研製薬から販売されています。
薬価の安いジェネリック医薬品は先発品と比べて添加物に違いはありますが、効能・効果や有効成分は全く同じとなっています。
妊婦さんの服用(妊娠初期・中期・後期)
妊娠中のイブプロフェンの服用について、妊娠初期(4~15週)、中期(16~27週)、後期(28~40週)に分けて解説していきます。
妊娠後期には使用はしない
製薬メーカーの説明書によると「妊娠後期(28週~40週)には投与しないこと」となっています。
妊娠後期には投与しないこと。
[妊娠後期のラットに投与した実験で 、胎児の動脈管収縮が報告されている。また、他の解熱鎮痛消炎剤を妊娠後期に投与したところ、胎児循環持続症(PFC)が起きたとの報告がある]引用元 イブプロフェンインタビューフォーム
また米国FDAの基準でも3rd trimester(妊娠後期)にはA・B・C・D・×の5段階のうちDの「危険性を示す確かな証拠がある」に位置づけられています。
妊娠初期・中期は有益性が上回る場合OK
また妊娠初期や中期については「有益性が危険性を上回る場合にOK」となっています。
妊婦(妊娠後期以外)又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性 が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、マウスの高用量(60mg/kg 以上)投与群で着床数及び生児数の抑制が認められている]引用元 イブプロフェンインタビューフォーム
米国FDAの基準では1st、2nd trimester(妊娠初期・中期)にはA・B・C・D・×の5段階のうちCの「危険性を否定することができない(ベネフィットがリスクを上回る場合がある)」に位置づけられています。
授乳中の服用
授乳中については製薬メーカーの説明書によると「母乳に移行することがあるため授乳を中止すること」とされています。
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[母乳中へ移行することが認められている]
引用元 イブプロフェンインタビューフォーム
しかし海外の基準では最も安全のL1に位置づけられています。
L1適合(安全):compatible
多くの授乳婦が使用するが、児への有害報告なし。対照試験でも児に対するリスクは示されず、乳児に害を与える可能性はほとんどない。又は、経口摂取しても吸収されない。
日本では少しでも母乳に薬が移行すると「授乳を中止すること」と定められていますが、実際に母乳に移行する薬の量はごくわずかで、赤ちゃんに影響がでないことも多くあります。
イブプロフェンは海外の基準では「授乳中に安全に服用できる」とされていることから、Drによっては「授乳を続けていいですよ」と指導されるケースが多いのが現状です。