関節リウマチや抜歯後の痛み止め、肩、腰の痛みに処方される消炎・鎮痛剤にセレコックス(成分名:セレコキシブ)という薬があります。

セレコックスを処方された患者さんから

「この薬はロキソニンとどう違うの?」

といった質問を受けることがあります。

セレコックスとロキソニン(ロキソプロフェン)の違いについて比較してみたいと思います。

即効性の違い

薬を服用して血液中の濃度が最大になるまでの時間をTmax(ティーマックス)といいます。

Tmaxが短いほど速く吸収され、即効性の判断材料となります。

薬品名薬の吸収が最大になるまでの時間
 Tmax
セレコックス100mg2.2時間
ロキソニン60mg0.79時間

 

セレコックスは服用後2.2時間で最大血中濃度に達するのに対して、ロキソニンは0.79時間で血中濃度が最大となります。

つまり即効性についてはロキソニン(ロキソプロフェン)の方が高いといえます。

持続時間・半減期(T1/2)の違い

薬の血中濃度が半分にまで代謝される時間を半減期またはT1/2(ティーハーフ)といいます。

半減期が長いほど代謝に時間がかかることから、持続性があるかどうかの判断材料になります。

薬品名半減期
セレコックス100mg6.7時間
ロキソニン60mg1.31時間

 

ロキソニンに比べてセレコックスの方が半減期が長く、ゆるやかに代謝されていきます。

持続時間についてはセレコックスの方が長いことがわかるかと思います。

作用機序の違い(セレコックスは胃負担が少ない)

セレコックスはロキソニンやボルタレンなどの他の解熱鎮痛剤に比べて胃腸障害が少ないとされています。

作用機序(メカニズム)から「なぜセレコックスが胃腸障害が少ないのか」について説明します。

セレコックス・ロキソニン作用機序比較

ここからは少し専門的なお話になります。

痛みや炎症の原因となるプロスタグランジンという物質があります。

プロスタグランジンにはたくさんの種類があり、中には消化管を保護する働きがあるものもあります。

プロスタグランジンはアラキドン酸といわれる物質からCOX(コックス)という酵素によって生成されます。

COXには正常な組織に存在するCOX1(コックスワン)と炎症組織で誘導されるCOX2(コックスツー)があります。

セレコックスは炎症時に誘導されるCOX2を選択してブロックするため、痛みや炎症の原因となるプロスタグランジンの生成を抑えます。

しかしロキソニンはCOX2だけでなく、COX1の働きもブロックしてしまいます。

そのためCOX1によって生成される消化器保護作用のあるプロスタグランジンの生成も抑えてしまいます。

多くの解熱鎮痛剤が「胃に負担がかかる」といわれるのはこのためなのです。

まとめ

セレコックスとロキソニンについて、即効性・持続性・作用機序の観点から違いを比較してみました。

まとめると次のようになります。

即効性
セレコックス<ロキソニン

持続性
セレコックス>ロキソニン

胃腸障害
セレコックス<ロキソニン

使い分けをみていると、関節リウマチなど1日じっくり痛みをコントロールしたい場合はセレコックス、急な痛みを抑えるためにロキソニンが処方される傾向にあります。

なお、熱を下げる解熱の効能はロキソニンにはありますが、セレコックスにはありません。