花粉やダニなどによるアレルギー性鼻炎や、じんましんなどの皮膚の痒みに処方される抗アレルギー薬がジルテック錠(一般名:セチリジン塩酸塩)です。
最近はジェネリック医薬品が普及していることもあり、セチリジン塩酸塩錠+メーカー名の名前で処方されることも多くあります。
ジルテック錠について作用機序や特徴、薬局で患者さんから聞かれる質問をまとめました。
作用機序(メカニズム)
作用機序について説明する前にアレルギーが起こるメカニズムについて説明します。
花粉やほこりなどのアレルゲンが体内に入ると、体は外敵とみなし攻撃をスタートします。
この攻撃が過剰になるとアレルギー症状がでてしまいます。
花粉症やじんましんは即時型(Ⅰ型)アレルギーと言われ、体の中にアレルゲンが入ると血液中のIgE抗体と結合します。
すると外敵を攻撃するために肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が放出されます。
脳や血管にヒスタミンH1受容体というものがあるのですが、ヒスタミンがヒスタミンH1受容体と結合することで、鼻水や肌の痒みなどが生じます。
ジルテック(セチリジン)はヒスタミンH1受容体にヒスタミンが結合することをブロックすることで、鼻水や皮膚の痒みを軽減します。
また肥満細胞からロイコトリエンの遊離を抑えたり、アレルギーに関与する好酸球の活性化を抑える作用もあります。
効果発現時間・持続時間(Tmax・T1/2)
薬を服用して血中濃度が最大になるまでの時間をTmax(ティーマックス)、その後半分ずつ血中濃度が分解される時間をT1/2(ティーハーフ)または半減期といいます。
製薬メーカーの資料によると、ジルテック(セチリジン)10mgを一度服用した時のTmaxは約1.4時間、T1/2は約7時間となっています。
ジルテック(セチリジン)を服用後1.4時間で血中濃度が最大となり、その後7時間ごとに半分ずつ血中の薬が分解されていきます。
持続性があることから、大人は1日1回服用となっています。
お酒(アルコール)との併用
「今度飲み方があるけどジルテック服用中にお酒は飲んでいい?」
患者さんから聞かれることのある質問です。
ジルテック(セチリジン)とお酒(アルコール)は併用すると眠気やふらつきが強くなる可能性があることから「併用注意」となっています。
絶対に一緒に服用してはいけない「併用禁忌(へいようきんき)」ではありませんが、お酒は極力控えた方がよいでしょう。
眠気の副作用が現れるため車の運転は禁止
ジルテック(セチリジン)は眠気の副作用が強く現れることから「車の運転は禁止すること」となっています。
妊娠・授乳中の服用
妊婦さんについては製薬メーカーの添付文書では「有益性が危険性を上回る場合のみOK」となっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔動物実験(ラット)で胎盤を通過することが報告されている。〕
引用元 ジルテック添付文書
また授乳中の場合、添付文書では「授乳を避けること」となっています。
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。(ヒト乳汁中へ移行することが報告されている)
引用元 ジルテック添付文書
一方で海外の基準では授乳中のジルテック(セチリジン)の服用は「比較的安全」に位置付けられています。
L2概ね適合(比較的安全):probably compatible 少数例の研究に限られるが、乳児への有害報告なし。リスクの可能性がある根拠はほとんどない。
引用元 Medications and Mothers’ Milk 基準
市販薬はある?
ジルテック錠の有効成分であるセチリジン塩酸塩が入った市販薬が販売されています。
- コンタック鼻炎Z
- ストナリニZ
医療用医薬品のジルテック錠10mgと同じで1錠中にセチリジン塩酸塩が10mg入っています。