お腹周りの皮下脂肪を落とす目的や便秘で処方される漢方薬がツムラ防風通聖散(読み方:ぼうふうつうしょうさん)です。

防風通聖散について、

「飲み方」
「作用機序(メカニズム)」
「妊娠・授乳中の服用」

など薬局で患者さんから聞かれることをまとめました。

効能・効果

ツムラ防風通聖散の効能・効果です。

 腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症  
高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘

 

ダイエット目的で処方される?

病院で処方されるツムラ防風通聖散は「皮下脂肪が多い+便秘気味」を満たしていないと保険での処方はできません。

薬局では、スリムでとても綺麗にされている女性がツムラ防風通聖散を処方してもらうケースを目にすることがあります。

日本は1割〜3割が自己負担、残りが国が負担するのですが、医療財政が厳しいこともあり、ちゃんと適応を満たして処方をしているか医療機関への審査が厳しくなっています。

そのため美容目的で処方をお願いすると医療機関サイドに迷惑がかかる可能性がありますので、どうしても服用したい場合は市販薬を購入することをお勧めします。

飲み方・飲み忘れた場合の対応

通常、成人には1日7.5gを2~3回に分けて処方されます。
食前又は食間に水かぬるま湯で服用するようにしましょう。

飲み忘れた場合は気付いた時に服用して問題ありません。
次回服用までの間隔が2時間以内の場合は服用を避けるようにしましょう。

作用機序(メカニズム)

防風通聖散は褐色脂肪組織の活性化することで皮下脂肪の燃焼を助ける働きがあります。

また配合成分であるダイオウが腸内細菌の作用でレインアントロンに代謝され、腸を刺激することで便を出す働きがあります。

妊娠中の服用

妊婦さんには「投与しないことが望ましい」とされています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
本剤に含まれるダイオウ(子宮収縮作用及び骨盤内臓器の充血作用)、無水ボウショウ(子宮収縮作用)により流早産の危険性がある。

引用元 ツムラ防風通聖散インタビューフォーム

 

授乳中の服用

授乳中の場合、母乳に移行し赤ちゃんが下痢を起こすことがあると報告されています。
そのため「慎重投与」となっています。

授乳中の婦人には慎重に投与すること。
本剤に含まれるダイオウ中のアントラキノン誘導体が母乳中に移行し、乳児の下痢を起こすことがある。

引用元 ツムラ防風通聖散インタビューフォーム

 

市販薬ナイシトールとの違い

「おなかの脂肪が多い方に」
のフレーズでお馴染みの市販薬に「ナイシトール」があります。

小林製薬さんから販売されており、CMでも聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

実はこのナイシトールの中身は防風通聖散です。

内脂肪を取るからナイシトールと名付けられたそうですが、名前のセンスが素晴らしいですね。

病院で処方されるツムラ防風通聖散との違いですが、1日量に含有される防風通聖散料乾燥エキスの量に違いがあります。

成人の1日量に含まれる防風通聖散料乾燥エキスの量は下記のとおりです。

薬品名乾燥エキス1日量
ツムラ防風通聖散4.5g
ナイシトール852.5g
ナイシトールG3.1g 
ナイシトールL2.5g 
ナイシトールZ5.0g

 

市販のツムラ防通散BFとの違い

市販薬にツムラ防通散BFという薬が販売されています。

医療用のツムラ62番と比べて、防風通聖散料乾燥エキスがちょうど半分の配合となっています。

また市販にもツムラ防風通聖散がありますが、ツムラ防通散BFと全く同じものとなります。

薬品名乾燥エキス1日量
ツムラ防風通聖散(医療用)4.5g
ツムラ防通散BF2.25g