心不全による体液貯留の基本的な治療では、水・ナトリウムの貯留を防ぐために利尿薬が処方されます。
また肝硬変による体液貯留の基本的な治療は安静と塩分制限ですが、効果が不十分な場合に利尿剤が処方されます。
ループ利尿薬などで効果が不十分な場合に追加で処方されるケースのある利尿剤がサムスカ錠(一般名:トルバプタン)です。
作用機序
サムスカ(トルバプタン)は腎臓の尿細管に作用して尿量を増やし、体内の余分な水分を排泄させる働きがあります。
具体的にどのように尿量を増やすのか解説していきます。
腎臓の尿細管は
- 近位尿細管
- ヘンレループ
- 遠位尿細管
- 集合管
に分かれます。
サムスカ(トルバプタン)は尿細管の中でも集合管に作用します。
集合管には脳から分泌されるホルモンであるバソプレシンが結合するバソプレシンV2受容体と呼ばれる部分があります。
バソプレシンがバソプレシンV2受容体に結合すると、アクアポリン-2と呼ばれる水の通り口が活性化し、集合管側に移行することで、血液中への水分の再吸収が促進されます。
サムスカ(トルバプタン)はバソプレシンがバソプレシンV2受容体に結合するのを防ぐことで血液中へ水分が再吸収されるのを抑え、余分な水分を尿から排泄させるのです。
グレープフルーツと併用注意
サムスカ(トルバプタン)は肝臓のCYP3A4(シップスリーエーフォー)という代謝酵素によって分解されていきます。
グレープフルーツはCYP3A4の働きを邪魔する作用があるため、サムスカ(トルバプタン)が分解されにくくなり、血中濃度が上がりすぎてしまうことがあります。
そのためグレープフルーツやグレープフルーツジュースとは併用注意となっています。